□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月28日発行 第280号 ■ =============================================================== 「テロとの戦い」から逃げ出したい大手新聞 =============================================================== 12月28日の朝日と産経の社説がそろってイラク新政権に対して、 「宗派を超えて国づくりを」、「挙国一致で復興を進めよ」などと檄を 飛ばしていた。 12月27日の毎日新聞の社説も「この1年が正念場だ」とイラク新政権 に注文をつけていた。 読売や日経なども同様の報道を繰り返している。 12月24日の朝日新聞に至ってはオバマ大統領に対して「責任ある撤退 へ現実策を」などと、アフガン政府への権限移譲を急げと要望している。 おかしくはないか。 今の日本にとっては社説に書くべき重要な事はほかに山ほどある。 しかもイラクやアフガンの政府に日本が注文をつけてもどうにもなるもの ではない。 ましてや対米従属の日本の新聞が米国のオバマ大統領に要求するなど、笑止 である。 それにもかかわらず、なぜ大手新聞各紙が、日本から程遠いイラクや アフガンの政情に社説で注文をつけるのだろうか。 それはズバリ、大手各紙はなんとかイラク、アフガンのテロが終わって 欲しい、これ以上「テロとの戦い」がニュースになってほしくない、そういう 切実な願いがあるからだ。 大手新聞は「テロとの戦い」から手を引きたいのだ。 しかし、彼らの期待とは裏腹に米国の「テロとの戦い」はこれからますます 泥沼化していく。 日米同盟を優先してきた日本は、米国への協力要請から逃れる事は出来ない。 日本は苦境に追い込まれる。 日米同盟は日本の為になるのかという声が国民から出てくる。 何よりも日本の国内状況は、これ以上「テロとの戦い」への協力を続けられ る余裕がなくる。 アフガン、イラク戦争を支持し、米国の「テロとの戦い」への協力を煽って 来た大手新聞としては困るのである。 しかし、そうは問屋が降ろさない。 米国の理不尽な戦争の犠牲になった無数の犠牲者達の怒りと悲しみが、 彼らの無責任な報道の罪を忘れないだろう。逃がさないだろう。 来年は大手メディアが「テロとの戦い」を扇動した責任を取らされる年に なると思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)