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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 小沢政局と一触即発の朝鮮半島
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月20日発行 第267号 ■       ===============================================================    小沢政局と一触即発の朝鮮半島     ===============================================================  平和ボケという言葉は、タカ派の連中が護憲派を馬鹿にする時に遣う言葉 と相場は決まっている。  しかし私はここでは、平和を叫ぶ護憲派の人々の、朝鮮半島の危機に対する 無関心さについて、あえて「平和ボケ」という言葉を投げかけたい。  ロシアの提案で国連安保理緊急会議が開かれることになった。いま主要国 の外交のすべてが国連に集中している。当然の事である。  北朝鮮が延坪島を砲撃して以来朝鮮半島の有事危機は続いていた。  それが頂点に達したのは韓国が、その延坪島周辺で射撃訓練を実施すると いい、これに対して北朝鮮が軍事的対抗措置をとると警告した先週のこと である。  あの時もし韓国が射撃訓練を行なっていたらどうなっていただろうか。  民間人を犠牲にしても平然と延坪島を砲撃した北朝鮮の事だ。警告を無視 して韓国が射撃訓練を強行すれば、北朝鮮が軍事攻撃に出て、今度こそ応戦 する韓国との間で戦争が起きる。  その可能性は極めて高いと考えるのが当然である。  戦争は思わぬところから勃発するのである。  たとえそうなった場合でも、それが米国や中国を巻き込んだ全面戦争に つながる事はない、と高をくくる事は簡単だ。  しかし戦争のことだ。いったん始まればその後の展開は不測の事態に発展 する可能性は排除できない。  たとえ局地戦争にとどまってすぐに終結しても、多数の犠牲者が出る。 悲惨と悲しみだけが残される。  何があっても戦争は避けなければならないのだ。  だから中国が動いた。米国が動いた。ロシアも動いたのだ。  これらの国の思惑がどうであれ、これらの国の利害関係が対立していると しても、とりあえず戦争回避に動いたということだ。  本来は憲法9条を誇りとする日本こそ先頭を切って戦争回避の旗振り役を 行うべきではなかったのか。  たとえそれが米国の立場と異なっているとしても、日本は戦争回避を最優先 すべきだ。  たとえそれが中国や北朝鮮を利することであっても、犠牲者をだすよりは はるかに正しい外交である。  それなのに、なぜ日本政府は米日韓と中国・北朝鮮の対立の構図に乗って、 米国や韓国の後について強硬姿勢を貫こうとするのか。  メディアはそれを当然視するのか。  それはおかしいと声を上げる政治家や有識者が一人も出てこないのか。  それを私は平和ボケと言いたいのである。  今目の前で我々が見せつけられている国連外交は、これこそが外交の真髄だ とも言える外交である。戦争回避の外交である。外交の中でこれ以上重要な 外交はない。これ以上の見せ場はない。  しかしその中に日本の姿はない。  それを政治の場で取り上げようとする政党、政治家はいない。  それどころか日本の政治は小沢問題一色であり、メディアもまたそれを 最優先に取り上げる毎日である。  2010年の年の瀬の12月20日は、小沢政局と一触即発の朝鮮半島問題が 二大ニュースとなって報道されている。  来年の日本を占うような組み合わせである。  来年こそは平和新党が日本の政治の中に生まれてこなくてはいけないと思う。                                 了

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