□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月16日発行 第263号 ■ =============================================================== 今こそ菅首相は中国との外交関係修復に政治指導力を発揮すべきだ =============================================================== 公明党の山口那津男代表が12月15日、北京の人民大会堂で中国の 習近平国家副主席と会談した。 それを報じる各紙の記事は小さいが、そこで報じられている習近平 国家主席に発言は極めて重要である。 各紙によってそ内容にニュアンスの違いはあるが、おおむね次のような 発言だったという。 「両国の共通利益は意見の食い違いをはるかに上回る。一日もはやく 両国関係が健全に戻るよう双方で頑張らないといけない。 中国は日本をライバルではなくパートナーとみなしている。 東アジア共同体の構築も両国が協力できる分野だ。中国は覇権を求める つもりはない」 ここには日本のこれからの日本のとるべき対中外交の最も重要な要素が 盛り込まれている。 「中国は覇権を求めるつもりはない」と述べた。これこそが日中国交回復 以来今日まで日本が中国に求めてきた事だ。これこそが中国が世界に向けて コミット(約束)し、それを誠実に実行すべき事である。日本はこの発言を 歓迎し、そのためのあらゆる協力を惜しまない、と応じるべきだ。そして それを世界に発信すべきだ。 東アジア共同体の構築について中国のほうからはじめて協力できると 言って来た。これも日本にとって見逃せない発言だ。 東アジアの平和は東アジア諸国の手で実現しなければならない。その鍵は 中国と日本の協力関係強化にある。いまこそ日本は東アジア共同体の構築に 向かって中国と本格的な話し合いをはじめる時だ。中国と日本でその内容を 作っていくのだ。 なによりも尖閣問題で損なわれた日中関係を一日も早く正常化させること は日本外交にとっても喫緊の課題だ。今中国がそれを呼びかけてきたのだ。 この機会を逸してはいけない。日中の政治関係を安定させ、日中経済関係を 一気に進めるのだ。もはやお互いに争う事ができないほどに経済利害関係を 高めるのである。 菅首相は山口代表の帰国を待って直ちに官邸に招致し、菅総理の訪中と 胡錦涛国家主席との首脳会談を、公明党の手を借りて、習近平副主席の手を 借り手設定すべきだ。 それをなんとしてでも訪米前に実現すべきだ。 公明党はこのような重要な会談について、それを公明党だけで活かす事が 出来ない以上、自分の手柄にとどめておくのではなく菅民主党政権を使って 実現するのだ。 公明党が国民のための政党、平和を願う政党であれば、それをしなければ ならない。 そして菅首相は訪中には小沢一郎の動向を求めるのだ。小沢一郎はそれを 快諾しなければならない。 それが出来れば菅首相の政権維持は保障される。 菅と小沢の和解の道が開ける。 民主党政権は続く。 米国は度肝を抜くだろう。 日本と中国が良好関係を持つと困る。 日本の政局が安定し、菅・小沢民主党政権が強くなると困る。 しかし米国はそれを面と向かって言う事はできない。 反対する理由がなが成り立たない。 反対すれば米国の悪意ある対日外交の正体がばれるからだ。 アジアの平和など望んでいないことがばれるからだ。 今の民主党に外交のわかるまともな政治家がいない事が悔やまれる。 菅首相側近に福山などという外務官僚に丸め込まれた外交オンチの側近 しかいないことが残念だ。 菅首相の起死回生である日中外交、日米外交打開のチャンスがみすみす 見過ごされてしまう。 耐えられない思いである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)