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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 海老蔵事件について書くのはこれで終わりにしたい(追加します)  
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月14日発行 第258号 ■       ===============================================================    海老蔵事件について書くのはこれで終わりにしたい(追加します)       ===============================================================  これで終わりにするつもりであったが、どうしても追加しておきたい記事 を見つけたのでもう一回書かせていただく。  私の「これが最後」というのはいい加減なものだということで、ご宥恕 願いたい。  しかしこれから書くことはいい加減なことではない。前回書いた事の正し さを裏付ける、この上ない補強記事である。  日刊ゲンダイ12月14日号に溝口敦が自らの連載コラム「斬り込み時評」 で要旨次のように書いていたのを見つけた。  溝口敦というノンフィクション作家はこの国のヤクザの不正を追及する記 事を書くことでは第一人者の作家である。  書いた記事がヤクザの怒りに触れ、自分のみならず家族まで襲われた経験 もある筋金入りの作家である。  その彼が書いているのだ。  今回の事件は出頭した伊藤リオン容疑者が半グレ(半分愚連隊の意)だった から取締りが甘く、事件がウヤムヤになっているのだ、と。伊藤は半グレで トクしている、と。  その要旨はこうだ。 「市川海老蔵殴打事件で浮上したのは『半グレ』集団が持つ脅威と、六本木 や麻布周辺に占める夜の支配力だった・・・伊藤リオン容疑者は暴走族 グループ『関東連合』の一派『宮前愚連隊』に関係するとされる半グレだ。  半グレ側の背後には住吉系列のK連合が控えているとされる。K連合は 新宿・歌舞伎町をがっちり押さえて、山口組系の組織さえ出店の際に挨拶に 出向くほどである。軟弱とされる首都圏暴力団の中では戦闘力と規律では一目 置かれる特異な存在。  だが半グレはK連合と常時つながっているわけでも下請けでもないので警察 には情報がない。暴力団であれば、暴力団対策法の対象になって取締りが厳し くなる。ところが半グレ集団は、警察は暴力団と見なしていないので、個人 データも集積していない。法令の扱いも一般人であり、人権も擁護される。 同じ罪名の判決でも量刑は軽い。犯人が出頭するまで、関係先の家宅捜査や 事情聴取がなかったのもその理由があった。  事情を知ったものしか足を踏み入れない西麻布の一角に立つ雑居ビル。その 中のダーツバーやカラオケ。店を営み、経営を任され、従業員として働く 半グレたち。高収入を楽しみ、わが世の春を謳歌する芸能人やスポーツ選手、 業界人。 中にオレ様風を吹かせる勘違い野郎がいれば、痛めつけるか、罠にはめてカネ にするか。  こうした犯罪はその環境における適者生存の原理に基づき、所得の再配分に 通じる。市川海老蔵はやられるべくしてやられたのであり、今後、これを痛い 教訓とするほかはない。  同じ事を暴力団がやれば、暴力団だけが血祭りに上げられる。半グレが やったから海老蔵の破滅的な酒癖と低劣な人間性だけ世に知られる事になった。  万人は方の前では平等という原則からすれば、法的には半グレを暴力団並み に扱うべきだろう。社会は暴力を禁じ手とすることで成り立っている・・・」  壮大な法の適用の欺瞞だ。警察はその背後にある暴力団をつかまえる事は できたはずだ。  警察はなぜ暴力団を根絶しないのか。出来ないのか。それは相互依存関係に あるからだと思う。  それを私はかつて外務官僚の現役の時、同僚の警察官僚にぶつけてみた ことがあった。  彼はそれに直接答えることなく、本気で潰そうとしたら俺達だっていくつ 命があってもたりないよ、と冗談めかしてつぶやいた。  今となってはそれが本音とも思えてくる。  この世は真面目な一般人は浮かばれない世の中かもしれない。  毎日たれ流される海老蔵事件のテレビ報道を聞いていると馬鹿らしくなる。                               了

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