□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月2日発行第236号 ■ =============================================================== 船橋洋一の私物と成り果てた朝日新聞 =============================================================== 朝日新聞はもはや船橋洋一という一記者の私物と化したようだ。 社長でもない、論説委員や編集委員でもない、「主筆」というわけの わからない肩書きを持った船橋洋一という記者が、12月1日の一ページの 殆どを費やして大袈裟なもの言いで世界の中の日本を論じている。 米国をはじめとしたこれまでの主要国の国力が衰退し、新興国が台頭し、 国際秩序の枠組みが大きく揺らいでいる。 こんなときこそ、内向きになることなく、「自由で開かれた国際秩序」の 構築に向けて日本は積極的に参加すべきであると説く。 そのこと自体に異論はない。当たり前の事だ。 問題はどうやって日本がそのような役割を果たせる国になれるのか、という ことである。 それを船橋洋一氏は次のように語る。これが、朝日新聞の一ページを費や して彼が語りたかった事である。 「・・・外交・安保で言えば、守るべきものは、日本が戦後、手にした 外交・安保資産である。すなわち日米同盟と憲法であり、軍事力によらない 『世界民生大国』としての役割である。それによってもたらされた日本に 対する世界の信頼感と敬意である。80年代以降の中国の近代化と『平和 台頭』路線も、アジアの平和と安定も、日本と日米のこのような貢献によって 可能となった。それらの資産は、時代に適合させつつ。これからも日本の 外交・安保資産として使うことができる・・・」 いわゆる「日米同盟の公共財」論である。 いわゆる日米同盟と憲法9条の「幸せな共存論」である。 しかしこれは大いなる詭弁である。 アジアの海に原子力空母を駆りだして日中韓を分断する米軍と同盟を 結ぶ事がどうして公共財なのか。 紛争を軍事力で解決することを禁じる日本国憲法9条と、国益の実現の ためには真っ先に軍事力を行使する米国との同盟が、どうして幸せに共存 できるのというのか。 いまなお憲法9条を支持する過半数の国民の声を押しつぶして対米従属に 走る日本のどこが「世界民生大国」なのか。 朝日新聞はこのような主張を読者の前で臆面もなく垂れ流す新聞では なかった。 それを悔やむ朝日人OBは多いはずだ。 今でも朝日の中にはそのような考えに反対する者がいる事を知っている。 それらの声が日増しにかき消されつつあるのだ。 朝日新聞は船橋洋一という一人の記者に乗っ取られ、解体しつつある。 了
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