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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

安全保障会議を上手く使いこなせなかった菅首相
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月29日発行第230号 ■       ===============================================================           安全保障会議を上手く使いこなせなかった菅首相    ===============================================================  どうでもいいことなのだけれど、私にとっては極めて興味深い事で あったので書きとどめておく。  北朝鮮砲撃が起きたとき、菅首相の危機管理意識のなさが自民党の 攻撃対象となっていた。  やれ第一報を報道で知ったとか、その時官邸が空であったとか。  つまらない言いがかりだ。  そんな批判しかできない自民党はおしまいだが、それにムキになって 反論する菅首相も情けない。  しかしそんな批判の中で一つだけ私が注目したのが、なぜ「安全保障会議」 を開かなかったのか、という批判である。  私もそう思う。  もちろん安全保障会議を開いたからと言って情勢が変わる訳ではない。 名案が出ることはない。  関係閣僚の顔ぶれも同じようなものだ。  しかし今回のような有事への対応策を論ずる場こそ安全保障会議なのである。  安全保障会議を開く事を躊躇する理由はなにもない。  安全保障会議は、中曽根政権下の1986年に内閣機能の強化という名目で 作られた危機管理の最高決定機関である。  その安全保障会議を招集し、運用する事務局として、内閣官房に安全保障室が 作られた。  私は外務省からの課長級スタッフとして1988年から2年間そこに出向した。  初代室長があの佐々淳行氏である。元警察官僚で、その後防衛庁に出向し、 官房長、防衛施設庁長官を経て安保室長になった。  その佐々淳行氏が11月26日の東京新聞「こちら特報部」で次のように 語っていた。安保会議でなければダメ、とまでは言わないが、まさしく有事の 安全保障会議なのだ、と。  この言葉がすべてを物語っている。  有事にかかわる大きな事件などめったに起きるものではない。安保会議が 開かれる時は、年に一度の防衛予算編成の際に、それを形式に承認する セレモニーの時ぐらいだ。  だからその事務をつかさどる安全保障室に出向している防衛省(国防)、 警察庁(治安)、財務省(予算)、経済産業省(防衛産業)、外務省(外交)、 などからの出向官僚は、日なが仕事がなく腕をさすって暮らしているのだ。  今回の北朝鮮砲撃はめったにない安全保障会議の仕事だ。  菅首相は直ちに安全保障会議を招集すべきであった。  仕事を与えられた官僚たちは張り切る。予算も一切かからない。  有事の指揮官として何か凄い事をやっているという格好を菅首相も国民の前 で示せる。  なによりも野党に批判されなくて済んだ。  一石三鳥、四鳥だ。  それを思いつかなかった菅首相は、はやり野党暮らしが長い政治家である ということだ。  官邸や内閣の機能を十分に使いこなせていないということだ。  安全保障会議の招集を助言するものが回りにいなかったというのであれば、 やはり官僚をうまく使いこなせていないということだ。  それとも助言に耳を傾けなかったということか。  それはそれでやはりピントはずれである。                           了

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