□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月24日発行第221号 ■ =============================================================== 菅首相は千載一遇のチャンスを得たと思え =============================================================== もはや私にとっては小泉元首相よりも対米従属的に見える菅首相。 オバマ大統領との首脳会談で「思いやり予算は減らしません」と約束して おきながら国民にそれを伝えない。 今頃になって「元気な日本復活特別枠」を決める評価会議が思いやり予算 をA評価にして、菅首相の最終判断を待つと言い出した(11月23日朝日)。 A評価とは「要求額のほとんどを容認する」という位置づけだという。 何が菅首相の最終判断だ。 とっくの昔に菅首相はオバマ大統領に約束しているじゃないか。 そんな腹立たしい菅首相であっても、起死回生の取って置きの策を助言して みたい。 それは目の前に繰り広げられる朝鮮半島の危機に、日本しか出来ない外交を してみろ、ということだ。 結論から言えば、日朝国交正常化と拉致問題の同時解決を図る事に政治生命 を賭けるのだ。 北朝鮮は国交正常化と引き換えに日本からの多額の援助(賠償)を欲しが っている。これは世界のどの国も手に出来ない日本だけの最強のカードだ。 そしてそれは既に小泉首相によって約束済みである。 それが実現しなかったのは拉致問題をめぐる小泉政権の不誠実な対応だった。 不誠実と言う意味はもちろん拉致被害者家族に対する不誠実であるのだが、 同時に北朝鮮との密約を破ったという意味で、二重の不誠実だった。 それらを清算してあらたな平壌宣言をつくるのだ。 その最大の問題は「拉致問題の全面的解決」をどう捉えるかである。 全員が生きて帰らなければ全面的解決にならない、というのなら解決は 永遠に不可能である。 拉致被害者家族と腹を割って話し合い、拉致被害者家族が受け入れられる ギリギリの解決策を見つけて、北朝鮮側と合意を図るのだ。 その解決を含め過去の歴史を清算をした上で日朝国交正常化を実現する。 これを今すぐ行なうのだ。 皆が朝鮮半島の有事をおそれて手詰まりの今こそ、日朝国交正常化外交を 行なうのだ。 みずから乗り込んで金体制と直談判する。 あるいは密使を派遣して合意をさぐる。 そのやり方は色々あるだろう。それを考えるのが菅首相の政治力だ。 国民の中には猛烈な非難をする者がでてくるだろう。命をなくす危険もある。 しかしこれだけの一大事を成し遂げるのだ。それは覚悟しなければならない。 政治家菅直人よ。冷戦構造の思考から脱却し、日米同盟の呪縛から自らを 解放してみろ。 そこからあらゆる可能性がひろがって行く。 米国も中国も韓国も出来なかった北朝鮮外交ができるのは日本だけだ。 「外交に無能」と冷笑され続けた菅首相が、歴史に名を残す外交を示す 千載一遇のチャンスが今到来しているのだ。 それに気づかなければいけない。 政治家、菅直人にいま求められているものは、それを行なう覚悟だけだ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)