□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月24日発行第220号 ■ =============================================================== 米国の情報に振り回される日本の北朝鮮外交 =============================================================== 突然のウラン高濃縮開発と思ったら、今度は韓国に対する攻撃だ。 北朝鮮情勢は一体どうなっているのだろうか。 情報にうとい我々一般国民はただ驚くばかりだ。 しかし驚くのは我々だけではない。 官僚も専門家もみな驚いているに違いない。 しかし彼らは我々のようにただ驚くばかりでは立場が無い。 だからまことしやかな言説を垂れ流して格好をつけるのだ。 これから連日のように北朝鮮情勢がメディアで流されると思うとうんざりだ。 外交に疎い菅・仙谷民主党政権はまたしても困難な問題に直面する事になる。 なぜ日本は北朝鮮情報に疎いのか。 この事について、田母神元航空幕僚長は、その著書「田母神国軍」(産経 新聞出版)の中で、次のように見事に答えてくれている。 「・・・日本をまだまだ活用したいアメリカは、情報においてもまだ日本を コントロールしておきたいと考えています。我が国は・・・情報をとる体制を 逐次整備していますが、それでも、すべてを自前でまかなえるまでにはなり ません。アメリカが許さないからです・・・日本人は北朝鮮のミサイルに対し ては、過剰なまでに反応します・・・北朝鮮の時だけ、なぜか大騒ぎします・・ ・・・(それは)アメリカが、特に北朝鮮の情報だけを日本に流しているから です。アメリカは、北朝鮮によるミサイルの脅威を煽ることで、日本のミサ イル防衛体制を強化させたいと考えています・・・これには狙いが二つあって、 一つは・・・アメリカに頼るしかないので自然と対米依存が高まるこという こと、もう一つは、アメリカの軍需産業が儲かるということです・・・」 問題はミサイル防衛だけではない。日本は米国から北朝鮮情勢の真実を何も 知らされないまま、米国が与えてくれる情報を鵜呑みにして北朝鮮外交を重ね てきたのである。 日米同盟を金科玉条のごとくあがめたてて、軍事的側面だけからしか北朝鮮 を見ない日本の北朝鮮外交が行き詰まるのは当然である。 軍事的側面から北朝鮮を見る事ができないから米国に頼らざるを得ないのだ。 米国の情報に踊らされるのだ。 米国の情報に頼らなくても正しい北朝鮮外交はできる。 それは発想を根本的に変えることだ。 憲法9条を掲げた平和外交を行なうのであれば、たとえ北朝鮮に関する情報が 十分でなくとも、正しい北朝鮮外交はできる。 いやむしろ米国の情報から決別し、隣国である北朝鮮と日本の本来の平和外交 を進めるならば、まったく新しい局面が開かれるに違いない。 米国さえも知らない北朝鮮の本音を知ることができるかもしれない。 情報は一方的に与えられるものではない。 情報は自らの手で築きあげていくべきものなのだ。 ここでもまた日米同盟から決別した自主、自立外交が求められている。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)