□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月20日発行第214号 ■ =============================================================== 柳田法相では本物の検察改革はできない =============================================================== 柳田法務大臣叩きが激しくなってきている。 しかし私は同情する気は起こらない。 あの失言はひどすぎる。 このまま柳田法相が職にとどまり続けるならるなら菅・民主党政権は 致命傷を負うことになる。 菅首相は一刻もはやく柳田法相を更迭すべきだ。 柳田法相は民主党政権のために一刻もはやく自ら身を引くべきだ。 しかし、柳田法相の事を私がここで心配する必用はない。週明けにも白黒 がつく。 私がここで言いたいのは、柳田法相が留任に固執する理由として検察改革 を成し遂げたい、と繰り返している事である。 これはウソだ。柳田法相に本物の検察改革など出来はしない。 そう言えばあの検察改革はどうなっているのか。 大坪大阪地検特捜部長の逮捕はその後どうなっているのか。 検察改革はできるのか。 見ているがいい。本物の検察改革などなど今の政治家の誰もできはしない。 その理由を私は情報月刊誌サイゾー12月号に見つけた。 少し長くなるが私なりに要約するとこうだ。 「・・ 検察の危機は99年の則定衛(のりさだまもる)東京高検検事長 (当時)の女性スキャンダル事件が発覚した時から始まっていた。 当時の法務・検察上層部は彼らの裏ガネである「調査活動費」をふんだんに 使っており則定がその筆頭格だった。 私的流用が明るみになれば上層部は芋づる式に検挙される。 それを懸念した検察の上層部が、権力争いと絡んで、当時の野中広務官房 長官に相談をもちかけ、女問題というプライベートナ問題を理由に則定を切り 捨て、組織を守った。 小沢一郎が自民党を飛び出し連立政権を作った時、真っ先に小沢の元に走り 出世レースを勝ち抜いたのが則定だった。 だから則定は野中の仇敵だった。自民党が政権を取り戻して野中が官房長官に 就任すると、則定のライバルであった検察幹部は野中に近寄って則定を排除した。 因みに則定はその後も小沢との関係を保ち、昨年以降小沢の法律顧問と なって小沢の弁護にあたっている。 野中が封じた裏ガネ問題はそれから3年後思わぬところで再燃する。それが 02年4月の三井環大阪高検公安部長(当時)の裏ガネ暴露事件である。 02年5月の衆院法務委員会で裏ガネを暴露する予定だった三井は別件逮捕 される。 その事件を指揮したのが今回捕まった大坪弘道前大阪地検特捜部長である。 大坪が開き直っている理由がここにある。いざとなればすべてをバラスと すごんでいるのだ。 三井は逮捕したものの、裏ガネ作りのスキャンダルは奈良地検や金沢地検で 元検察事務官のカラ出張による裏ガネづくりの告発が広がり始めていた。 世間の目をそらすために当時の原田明夫検事総長ら上層部は鈴木宗男の捜査 を前倒しした。 原田明夫検事総長の意向を汲み、ムネオ事件を大きく取り上げ裏ガネ問題を 封じた責任者が当時の伊藤鉄男東京地検特捜部長であった。 その後出世して次期検事総長含みで今の最高検次長検事となっている。 尖閣問題でも指揮をとり那覇地検をスケープゴートに使った。菅・仙谷 民主党政権に貸しをつくった・・・」 これ以上書くまでもないだろう。要するに検察幹部と時の政権は、長年に わたって持ちつ持たれつの深い関係にあるのだ。 大手メディアは政治と検察の関係を知っていても書かない。 大手メディアもまた検察との癒着関係にあるのだ、とサイゾーの記事は書い ている。 菅・仙谷民主党政権に本物の検察改革など出来はしない。ましてや柳田法相 にできる筈は無い。 トカゲの尻尾きりに終わり、決して検察の裏ガネ問題が追及されることは ない。 その事をサイゾーの記事は教えている。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)