□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月15日発行第203号 ■ =============================================================== シオニズムの代弁者を思わせる布施広毎日新聞専門編集委員の記事 =============================================================== おぞましい記事を見つけてしまった。 11月11日の毎日新聞は、布施広専門編集委員とイスラエルの「サイモン ・ウィーゼンタール・センター」副所長とのインタビュー記事を掲載していた。 サイモン・ウィーゼンタール・センターとは、ナチの被害から逃れ、戦後は ナチ・ハンターとして名を馳せたオーストリアーハンガリー帝国出身のユダヤ 人であるサイモン・ウィーゼンタール氏の名を冠して作られたユダヤ人団体 である。 その本部を米国ロスアンジェルスに置いて、世界中の反ユダヤの言論を 見つけてはそれに激しく抗議を繰り返す団体である。 日本においても、古くは文芸春秋社のマルコポーロという雑誌が、ナチの ユダヤ人ガス室虐殺はなかった、という記事を掲載した事に噛み付き、マルコ ポーロを廃刊に追い込んだ。 最近では田原総一郎が2009年3月のテレビ朝日「サンデープロジェクト」 で、田中角栄はユダヤにやられた、小沢一郎もやられるんじゃないか、などと 発言した事に抗議し、謝罪を求めている。 そのサイモン・ウィーゼンタール・センターのエイブラハム・クーパー 副所長(60)が来日したという。 それを機会に毎日新聞の布施広編集委員がインタビューを行い、その模様を 11日の毎日新聞が掲載したのだ。 その内容を読んで驚いた。 サイモン・ウィーゼンタール・センターを「世界が直面するテロの脅威の 根絶を目指す人権団体」と書いている。 人権団体だぞ、人権団体。 そしてその副所長の次のような言葉を、そのまま流している。 「テロは中東和平とは関係ない。たとえイスラエルとパレスチナがこの世 から消えてもテロの状況は変わらない」 あたかもテロはパレスチナ問題とは無関係の絶対悪だ、世界の共通の敵だ、 と言わんばかりである。 これではパレスチナ問題を知らない日本人読者はそうかと思わされてしまう。 布施広という専門論説委員はどういう目的で彼にインタビューしたのか。 こんなインタビュー記事を掲載する毎日新聞の意図はどこにあるのか。 最近の新聞で目にした稀に見るおぞましい記事であった。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)