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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

昭和天皇が反共だった事を示すエピソードをまた一つ見つけた
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月15日発行第202号 ■       ===============================================================            昭和天皇が反共だった事を示すエピソードをまた一つ見つけた     ===============================================================  テレビでおなじみの三宅久之という政治評論家が、「書けなかった特ダネ」 と題する新書(青春新書)を出した。  その表題につられて読んでみた。  元毎日新聞政治部の記者というから、さぞかし面白い事が書かれていると 思ったらがっかりさせられた。  「たかじんのそこまで言って委員会」、とか「ビートたけしのTVタックル」 などという娯楽政治番組の常連に身をやつしてダメになったのか、あるいは 年老いてすっかり政治部記者の頃の記憶が失せたのか、たいした「特ダネ」は なかった。  その中で一つだけ私が注目したエピソードがあった。  それは、日ソ国交回復を手がけた鳩山一郎が昭和天皇に日ソ交渉に反対され て狼狽したという秘話である。  これは私も知らなかった。  その概略はこうだ。  1955年早春のある日、皇居での内奏からあたふたと官邸に戻ってきた 鳩山一郎首相は顔を蒼白にして、「陛下は日ソ交渉に反対された」とうなだ れた。  側近の河野一郎農相(当時)が、その時の昭和天皇の発言を詳しく問いただ した上で次のように鳩山首相に進言する。  「総理、陛下のお言葉はご質問であり、ご意向の表明ではないのではない ですか。政府の決定に陛下が反対されるのは、憲法上ありえないことですから。  あくまでご質問だったことにして、日ソ交渉は予定通り進めましょう」  この一言が鳩山の背中を押して、日ソ国交回復の扉が開いた、という。  この話は面白い。  鳩山一郎よりも河野一郎のほうが政治家としてはるかに腹が据わっていた ということだ。  それにしても昭和天皇の反共ぶりは凄い。  ゼネストに恐れた昭和天皇が、日本国民は何をするかわからないからと言って マッカーサーに日本の治安維持を頼んだという話は聞いた事がある。  ソ連の日本占領を恐れた昭和天皇が、マッカーサーに在日米軍を認めるから 守って欲しいと言って、「憲法9条があるじゃないですか。憲法9条は最強の 安全保障政策ですよ」とたしなめられたという話は聞いた事がある。  そして今度のエピソードだ。  因みにこのエピソードに驚いたのは私だけではない。  政治評論家の岩見隆夫氏が11月13日の「近聞遠見」で河野一郎の言葉は 凄いという間接的な表現で、このエピソードの衝撃ぶりを書いていた。  たしかにこれだけは「書けなかった特ダネ」に値する。                                了  

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