□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月14日発行第201号 ■ =============================================================== 日中首脳会談をベタ褒めする朝日新聞 =============================================================== 今度は日中首脳会談だ。 「政策コンテスト」に引き続き、朝日新聞が日中首脳会談を他のどの 新聞よりもべた褒めしている。 想定したとおり日中首脳会談は行なわれた。 そしてこれも予言したとおりメディアはこの事を最大のニュースの如く 報じている。 しかしその報じ方には各紙によって微妙な差がある。 一番厳しいのは産経新聞だ。一番好意的なのは朝日新聞だ。 その差はどこから来るのか。 中国に対して好意的か敵対的かという朝日と産経の違いから来る面は 確かにあるだろう。 しかし最大の理由は菅・仙谷民主党政権に対する支援の差によるのだ。 首脳会談は実現した。それはもちろん歓迎すべき事だ。 しかし問題はそれが首脳会談に値するものであったのかどうかだ。 この事について、これが正式な会談なのか、「会ってやった」というだけの 会談なのについて意見が分かれている。 会談が出来るかどうかが大問題であったのに、今度はその会談が実現した と思ったら、それが正式かどうかでまた議論される。 これはほとんど笑い話だ。 もはや菅・仙谷民主党政権の使い走りの感がある福山哲郎官房副長官が いち早く「正式会談」だと説明したという(11月14日読売)。 しかしその読売新聞の記事は中国新華社通信が13日、胡主席と菅首相の 接触について、「会見し、言葉を交わした」という軽い意味合いの表現を 使って報道していたと書いている。 横浜で行なった他の首脳との接触については「会談」という言葉を使って 正式な会談としての位置づけを明確にしたというのにである。 ところが14日の朝日新聞は一面トップ次のような大きな見出しを打った。 中国主席と正式会談、菅首相 関係改善へ第一歩 それどころか、「中国外務省もこれを『正式な会談』と位置づけた上で、 『友好的、協力的な関係を進める事が両国の根本的な利益にかなう』とする 立場を表明した」とまで書いて今回の日中首脳会談をベタ褒めしている。 おまけに朝日新聞は14日の社説のなかで、今回の米・露・中との首脳 外交を、今後の外交の反転の足場としてほしい、とエールを送っている。 なぜ朝日新聞は各紙の中でもこれほど高く日中首脳会談を評価するのか。 それは取りもなおさず菅・仙谷民主党政権がこれまでのどの自民党政権より も対米従属的だからだ。 鳩山・小沢民主党政権が壊した対米関係を、なりふりかまわず修復してくれ るからだ。 だから今菅・仙谷民主党政権に倒れられては困るのだ。 もはや朝日新聞は私にとっては読むに値しない新聞になりつつある。 どの新聞よりも日米同盟を礼賛する朝日が、私の考えと反対であるからだけ ではない。 事実に反する事を臆面もなく書くようになったからだ。 朝日はいまや米国の広告新聞に成り果てた。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)