□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年10月28日発行第167号 ■ =============================================================== 事業仕分けをあざ笑うようなハワイのクリントン・前原会談 =============================================================== 10月27日から事業仕分け第3弾が始まった。メディアがそれを 大きく報じる。 国会でのモデル撮影でウソの言い訳をして味噌をつけた蓮舫議員や、 中国批判をした後ほとぼりがさめるまでメディアから姿をくらましていた 枝野議員が、ここぞとばかりにテレビの前で張り切っている。 しかし我々はだまされてはいけない。 政権をとった今、民主党政権のなすべき事は自らの責任と権限で国民の ための正しい予算編成を行う事である。 すなわち限られた予算をどの政策から優先して配分していくかという政治的 決断を国民の前で示す事である。 国民が注目すべきは事業仕分けではなく政策コンテストの中身がどうなるか である。 おまけに事業仕分けの第3弾は財源を見つけるのではないと言う。埋蔵金 はもはや残っていないという。 何のための事業仕分けなのか。 特別会計は各省庁の財布である。そのすべてを廃止して一般予算に統合 すればいいだけの話だ。その事業の必要性を一つ一つ問いただす必要などない。 時間の無駄だ。 事業仕分けがはじまったちょうど同じ頃ハワイではクリントン・前原会談が 行なわれていた。 そこでの主要テーマは思いやり予算である。 「日本の安全保障環境が悪化しているのだから減額できない。増額が必要だ。 何か増やせるものはないか」 日米の協議で米側が繰り返してきたのがこのセリフだという(10月20日 朝日新聞) 思いやり予算は減額すると言っていた民主党である。 その民主党の前原外務大臣はクリントン国務長官にハワイまで呼びつけられ、 そのあげく会談では、従来と同水準で維持する方針を伝える方向だという (10月27日日経新聞)。 思いやり予算は何に使われるのか。 米軍基地の環境対策だと言う。それを称して日米同盟を「緑の同盟」などと 呼び変えたりしてみる。 しかしその中身は米軍住宅への太陽光発電の導入だという(10月21日 読売新聞)。 我々の住宅では太陽光発電がまだ一般化していないというのにである。 日本人同士が事業仕分けで罵り合っている。 それをあざ笑うかのように米国に命ぜられるままに前原大臣が「思いやり 予算だけは減らしません」とあっさり約束させられてくる。 これが日米同盟の正体である。 これが政権交代を果たした菅民主党政権のしていることである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)