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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

公務員改革の欺瞞を国会で糾弾した古賀茂明氏を応援する
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2010年10月17日発行第151号 ■       ===============================================================             公務員改革の欺瞞を国会で糾弾した古賀茂明氏を応援する     ===============================================================  これから書く事はいささか個人的な思い入れの強いメルマガになることを あらかじめお断りしておく。  それほど私は驚き、感動し、そして怒ったのだ。  15日の参院予算委員会における小野次郎議員(みんなの党)の質問中に、 経済産業省現役キャリア官僚の古賀茂明氏が政府参考人として答弁した。  それを偶然テレビで見た私は画面に釘付けになった。  古賀茂明氏は民主党政権の公務員改革は偽物だと雑誌などで批判して経済 産業省から退職を迫られた現役官僚だ。  その事についてはかつてこのメルマガで書いた事があった。  時の政権の目玉政策がいかさまだと現役官僚が批判する事が如何に勇気の いる事であるかは官僚経験者の私でなくとも、およそ組織で働いた事のある者 なら誰もがわかるだろう。  ちなみに私がイラク戦争に反対して小泉首相の政策に異を唱えたのは、 あくまで部内での意見具申においてである。外部に向かってではない。  それなのに外務省から辞職を迫られた。その不合理に怒り、この不合理だけ は世に知らせなければならないと思って、その経緯を「さらば外務省」で告発 したのだ。  しかし古賀氏は違う。現職の官僚でありながら時の民主党政権の目玉政策で ある公務員改革がいかさまだと国民の前に告発したのである。  そんな事を行なった官僚は空前絶後だろう。それほど民主党政権の公務員 改革が腰砕けになったということだ。  ただでさえ勇気のいることなのに、古賀氏は政府参考として国会招致に応じ、 民主党政権の影の首相と言われる仙谷官房長官の前で、その仙谷官房長官が 主導する公務員改革が偽物だと批判した。  これはもっと凄い事だ。私が驚いたというのはまさにこの事である。  因みに私は「さらば外務省」を出版して日本外交のいかさま振りを告発した 時、メディアや平和活動家、人権団体などから一時的にもてはやされた。野党 政治家からのアプローチもあり国会参考人などにも声をかけられた。  しかし私はそれらに極めて慎重に対応した。  一介の官僚が国家権力に歯向かうことが如何に過酷で危険なことか、それを 私は知っていたからだ。  それを臆病だという人はいた。何時まで経っても官僚の保身から抜け出せ ない奴だという者もいた。  しかし、それは違う。  そのようなことを軽々しく口に出すものは、およそ告発というものをした ことのない者に違いない。そのような事をしようと悩んだことすらない人に 違いない。  権力批判をすることは、その事によって権力者が傷つく以上の何倍もの傷を 自らが負う事だ。  その巨大な打撃に押しつぶされることなく生き残っていかなければならない。  一時的に人はその勇気を讃える。しかしそれ以上の事は何もしてくれない。 すぐに忘れ去られていく。  告発者はそれでもその後の長い人生を一人で生きていかなければならないのだ。  潰される事は覚悟の上だ。しかしその前にせめて自分の思いを少しは成し遂げ たい。そう思って私は慎重に対応してきた。  そのお陰で今日まで生きながらえて、こうしてメルマガを書き続けられている と私は思っている。    しかし古賀氏は戦いをさらに進めた。古賀氏が国会で証言した事を知って 私はそう思った。だから驚き、感動したのだ。  しかし、それは言い方を変えれば、それほど古賀氏は追い詰められている ということだ。想像を絶する誹謗中傷や圧力がかかっているという事だ。  生き残るためには戦うしかない。もはや失うものは何もない。そう覚悟を 決めて古賀氏は国会で答弁したのだ。  古賀氏はしかし正しい事を言っている。だから古賀氏が負けるはずはない。 なんとしてでも頑張ってもらいたいと私が応援する理由がそこにある。  それにしても仙谷という政治家はとんでもない野郎だ。  仙谷は、民主党政権が出来て彼がまだ鳩山内閣の公務員改革担当大臣であ った時、事務次官ポストを廃止する事もありうる、などと言って私を驚かせた。  事務次官ポストの廃止は、それ一つ実現するだけで公務員改革はできると 思わせるほどの改革なのである。  事務次官というポストがなくなったとたん官僚組織が崩壊する。官僚をここ まで悪くさせる出世競争と言う弊害がほとんどがなくなる。それほど大きく、 かつ効果的な改革であるのだ。  だからこそ官僚たちはこれだけは死守しようとしたのだ。  その官僚たちの強い抵抗にあって仙谷はあっさり前言を翻した。  その後の仙谷は官僚との妥協に一瀉千里に走った。  菅民主党政権の官房長官になってからというものは、官僚たちを味方につけて 影の総理を満喫しているが如くだ。  小沢を追い落とした後の仙谷は増長の極みだ。  だからこそ仙谷は古賀茂明氏の答弁に気色ばんだ。  答弁を求められていないにもかかわらず答弁席に出てこう言ったのだ。  「職務とは関係ないことでこういう場に呼び出すやり方は、はなはだ彼の 将来を傷つけると思います。優秀な人であるだけに、大変残念に思います」  これは古賀氏に対する最大限の非難だ。いや恫喝とも言える暴言だ。  報道によれば古賀氏は公務員改革批判をした為に、経済産業省の望月事務 次官(当時)から引導を渡されている。もはや次のポストはないと。  その望月次官はその後内閣官房参与として仙谷の膝元に天下っている。  仙谷が知らない筈はない。古賀氏の将来はその時点で絶たれていた事を。  それを「優秀な人だけに将来が傷つく事が残念だ」、とはなんたる物言い であろうか。  「馬鹿野郎。みんなの党に担ぎ出されてのこのこ国会まで出てきやがって。 官僚の分際で俺の政策に批判するとは生意気だ。官僚の道を踏みはずしたら どうなるか、もうすぐわかるから首を洗ってまっていろ」  仙谷はそう言ったのだ。  こんな恫喝発言を見抜いた新聞はどこにもない。  みな仙谷官房長官を恐れているのだ。  みんなの党の渡辺喜美や江田憲司や小野次郎は古賀氏に大きな借りを つくった。  参考人として古賀氏を国会に招致し、公務員改革を売り物にしている自らの 政治活動に古賀氏を利用した。  そうである以上本物の公務員改革を成し遂げる責任が「みんなの党」には ある。  かくなる上は「みんなの党」は何としてでも古賀氏を政治家にさせて、 本物の公務員改革を実現しなければならない。  本物の公務員改革実現のために古賀氏を仙谷と対等の形で国会でもう一度 闘わせる舞台を整えてやる責任がある。  古賀氏の無念を晴らしてやれ。それが渡辺喜美たちの政治家としての最低限 のけじめである。                                了

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