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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

中国問題にどう対応すればいいのか
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年10月11日発行第139号 ■       ===============================================================             中国問題にどう対応すればいいのか      ===============================================================  日本は中国とどう向かい合っていけばいいのか。  この問題は、たとえ今回の尖閣問題が収まっても、間歇泉のごとく 日本国民が直面する大きな問題である。  そして菅民主党政権は今回の対応では日本国民に何も答えなかった。  そんな菅政権を野党は追及できなかった。  メディアも菅政権の責任を追及しなかった。メディアもまた中国への対応 に答えがないのだ。  政府も野党もメディアも、中国問題にどう対応すべきか答えてくれない。  だからこそ我々は自分で正しい答えを見つけ、それを政府、政治家、 メディアに求めていかなければならないのだ。  私はいつものように自分の考えが正しいと思っている。  だからこれから述べる中国問題への対応策もそれが正しいと思っている。  しかしこの問題は日本にとって最大の問題である。  どのような意見でも、それがより正しいと思われるのならば、私はいつ でも自分の考えを改める用意はある。  そこでまず自分の考えを提起し、それに対する読者からの意見を聞いた 上で、より完全な答えに到達してみたいと思う。  そしてそれを再び読者にフィードバックして正しい考え方を共有したい。  そう前置きをした上で、私の考えを以下の通り箇条書きにしてみる。 1.中国はまぎれもない覇権国家である。未だ非民主的な国である。私も そのような中国を警戒する世論の大勢に同調する。 2.しかし、だからと言って日本が中国を非難する事は間違いだ。   ある国が他国を批判する。それは国際政治の中ではおよそ建設的意味を 持たない。建設的な結果をもたらさない。  なぜならば主権国家は自らが正しいと主張し、自らの国益追求を優先する のが常であるからだ。それが国際政治の現実だ。  その現実の中で、ある国が他国を非難し続けるならば両国関係は悪化する。 敵対関係になる。  国際政治の基本が内政不干渉である理由がそこにある。 3.他国を非難し、なおかつそれが実効的になる唯一の場合は、国際社会 が一致してその国を批判する時だ。  中国を非難する時は、だからそのような形で非難すべきだ。 4.そのためには外交力が必要とされる。国際社会への発信力が求められる。   今回はまさしく菅民主党政権にそれらが欠如していた。批判さるべきは 中国ではなく日本政府なのである。 5.国際社会の一致した非難と言っても、その実現は容易ではない。  なぜならばどの国もその国を支持する友好国を持つからだ。その国との 関係を国際社会の要請より重視する国があるからだ。  だから日本の言い分が国際社会に認められるかどうかはこよなく日本の 国際社会における影響力、すなわち全体としての国力にかかっている。日本 という国が世界から好まれているか、尊敬されているかによる。まさしく 日ごろの日本の努力がものを言う。 6.国際社会の一致した非難が得られないからと言って、いわゆる有志連合 づくりに走り、それを国際社会と見なしてその考えを実現しようとする事は 危険であり間違いだ。  有志連合をつくってある国に干渉しようとするなら、その国の側に立つ国が 結束し、反有志連合の有志連合ができる。かつての同盟国の考えである。  同盟の乱立が二度にわたる世界大戦を引き起こした。その反省に経って 国際連合ができた。人類は時計の針を逆もどりさせてはならないのだ。 7.こう考えた時、中国の覇権的動きを牽制する唯一の方法は、毅然とした 政治力、外交力を発揮して国際世論を味方につける努力をするほかはないこと がわかる。不断の努力にかかっている。 8.中国とのあらゆる紛争はもとより二国間で解決されるよう努力すべきで  ある。しかし中国は容易に譲歩しない。その場合には国際的ルールに従って 解決するしかない。  たとえ中国が国際的ルールに従って解決する事に応じようとしなくても、 国際社会に訴え、国際ルールに従って解決する努力を続けていくほかはない。  それは時間と手間がかかることだ。しかし紛争を武力で解決しない事を 戦後の国際社会が決めた以上、そのルールに従うほかはない。  米国のように軍事力で国益を実現するような歴史の逆戻りをしてはならない。 9.中国こそ軍事力で国益をしようとする国ではないか、という意見が提起 されるに違いない。  私は、尖閣諸島問題を含め日中問題の懸案問題の解決のために、中国のほう から先に日本に対して軍事力を行使する事はありえないと思っている。  そんな事をすれば中国は国際的に非難される。失うものが大き過ぎる。それ を中国は知っている。それほど中国は愚かではない。 10。それでも中国の軍事的脅威は否定できない。中国の軍事的脅威に抗する 軍事力の強化や日米同盟の深化が必要だという主張はあるだろう。  まさしくこの点が唯一、最大の論争点だと思う。  私の確信はこうだ。  もし中国が日本に対し武力を行使してまで自らの国益を求めてくるような 事があれば、なおさら日本は非軍事的手段によってそれに強く抗していくべき なのである。  中国と対等に戦うだけの軍事力を持つ余裕は今の日本にはない。  中国の軍事的脅威に対抗するために日米同盟に頼ろうとする事は誤りだ。  なぜならば、米国は今も昔もこれからも、日本のために中国と戦う気はない。  米国民がそれを許さない。だから米国議会はそれを認めない。戦争を行なう 決定権は議会にある。  米国が自らのために中国と戦争する事はいつかの時点で有り得るかも知れ ない。  しかしその時は、日本は日本を舞台に米国と中国の代理戦争をさせられる 時だ。こんな馬鹿げた役回りはない。  軍事覇権大国である米中と向かい合う日本の最強の切り札は平和憲法なのだ。  この事に日本国民は気づかなければならない。  日本の指導者は国民を覚醒しなければならない。  その前に自分自身が覚醒しなければならない。                                  了

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