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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

中国と台湾だけでは有事は起きない
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年10月11日発行第140号 ■       ===============================================================             中国と台湾だけでは有事は起きない      ===============================================================  「中国問題とどう向かい合っていけばいいのか」という問いの答えを考える 上で有用な記事を見つけたので参考までに書いておきたい。  10月11日の日経新聞に台湾の馬英九総統の建国記念日に際する演説が 掲載されていた。  その中で馬総統は、中華民国は主権独立国家であるとあらためて主張した という。  今後も中華民国の主権を擁護し、台湾の尊厳を守ると強調したという。  この発言に対する中国政府の反応はいまだ報道されていない。  おそらく激しく反発するだろう。台湾の独立は認める訳にはいかないからだ。  しかし、それではこのどちらもが譲れない国家主権の問題で中台有事が起き るだろうか。  その演説で馬英九総統は更に次のようにも話したという。  中台双方が「相互に相手を否定しない」事を実現すべきだと。    中台交流を深める際、「国際社会での協力も拡大できる事を希望する」、と。  これは少なくとも台湾としては主権独立問題を、政治的には一歩も譲らない が、軍事力で解決するつもりはないという意思表示だ。  紛争の一方の当事者が国際社会の前でここまで明確に意思表示しているのに、 中国が主権問題で先に軍事力を行使する事はありえない。それを行なえば中国は 世界から孤立する。  その一方で政治的には台湾と同様中国は一歩も譲らないだろう。  この上ないほど激しく主権を主張するだろう。  つまり中国と台湾だけでは、国家主権、領土問題という最も重要な政治懸案で あっても決して有事には至らないのだ。  その対極にあるのがパレスチナだ。  累次の国連決議を違反してパレスチナの領土を占領し続けるイスラエル。  パレスチナの抵抗を問答無用で武力で押さえつけるイスラエル。  それが出来るのも米国がそれを認めているからだ。  米国が関与すれば戦争が起きる。  もし将来において中台有事がおきるとすれば、米国が関与してくる時だ。  平和への最大の危険国家は米国であるという現実を我々は直視しなければ ならない。                                  了

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