□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年10月7日発行第134号 ■ =============================================================== 「大風呂敷を拡げたんだ」と開き直った菅首相 =============================================================== もはや代表質問は無意味だ。野党代表は同じ質問を繰り返し、菅首相は 官僚の書き上げた同じ答弁を繰り返す。 中には志位共産党委員長のように、大企業が溜め込んだ内部留保を雇用者 に回さずして何が法人税減税だ、とか、沖縄住民の意見を無視して普天間基地 移転を行う事など出来ると本気で思っているのか、といった本質的な問いかけ もあったが、それとても菅首相の答弁は同じ事の繰り返しであった。 政権交代が起きたというのに、このような不毛な国会審議を誰が予想した だろう。 そんな答弁のなかで、菅首相が本音を漏らした瞬間があった。 社民党の重野安正幹事長が、菅首相の所信方針演説の中で述べた有言実行に ついて質した時だ。 大風呂敷ばかり拡げるのではなく着実に実施することの重要性を訴えた時 である。 彼はその時だけ声を荒げて答えた。答えた後で又官僚答弁の棒読みに戻った。 彼は原稿を読まずに自分の声で何と言ったか。 自分はあえて大風呂敷を拡げたのだ。日本の直面する諸問題はこれまでの 政治のツケが回ってきた結果であり、民主党政権だけで解決できるものでは ない。ましてや自分ひとりで解決できるものではない。すべての政党が協力 して解決すべきものだ。国民の全員参加で解決するものだ、と。 これこそが彼の真骨頂である。 しかし、この主張がまかり通れば菅首相は永久に首相にとどまっていられる。 自分は強硬策を取らない。自分の意見を押しつけない。皆が合意する政策が あればそれを尊重する。それを実施するだけだ。だから責任を取る事もない。 どの政党が政権をとろうと、誰が首相になろうと、皆が合意する政策であるから、 同じ事になる。そうであればこのまま民主党政権にやらせていいだろう。自分が 総理を続けてもいいはずだ。これである。 こんな虫のいい話があるだろうか。 これは政治の否定である。 すべての国民が合意する政策などない。 綱領の異なる政党の政策が一致する事は例外的だ。 だからこそ国会での政策論争があり、政権交代が起きるのだ。 政権政党の代表が自らの職をかけて政策決断を行なうのである。 そこに政治の緊張があり、本当の意味での政局があるのだ。 戦後65年余り経ち、初めて国民の手で政権交代が起きた。その政権交代から わずか一年で、日本の政治はかくも弛緩し、不毛になってしまった。 これほどの皮肉はない。何も気づかない国民は舐められきっている。 了 おしらせ ベンジャミン・フルフォードと天木直人の講演会が以下の通り開かれます。 記 テーマ:民主党政権に任せたら日本はどうなる?今すぐ日本を良くする処方箋 (構成: 天木直人講演、ベンジャミン・フルフォード講演、ベンジャミン VS天木氏による対談、質疑応答) 日時: 2010年10月9日(土) 14:00~17:00(受付は 13時半から) 場所: 千駄ヶ谷区民会館 2F (東京都渋谷区神宮前1-1-10) アクセス: JR山の手線 原宿駅「竹下口」 徒歩6分 費用: 3000円 (学生2000円) 申し込み方法: 氏名、連絡先 、参加人数、支払い方法(持参又は振込み) を明記の上、 メール(benjaminoffice88@gmail.com)にてお申し込み下さい。 問い合わせ先: ベンジャミン・フルフォード事務所 (benjaminoffice88@gmail.com)
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)