□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年10月7日発行第132号 ■ =============================================================== 見直すべきは小泉政権下で行なわれた司法制度改革だ =============================================================== 誰も関心を払わなかった検察審査会制度なるものが小沢問題で急に注目 されるようになった。 最近では女子プロゴルファーの父である国会議員までも検察審査会の対象 になっていた事が報じられるおまけまでついた。 その検察審査会制度に読者から多数の疑問や批判が寄せられていると、 10月7日の東京新聞「応答室だより」が書いていた。 当然だ。専門家の間でも意見が真っ二つに分かれている。 10月6日の読売新聞では、元裁判官の秋山賢三氏が、強制起訴制度は 人権侵害につながる、と否定し、強制起訴制度導入にかかわった一人である という大出良知東京経済大学教授が、検察審査の民主化だ、と評価する。 いままで何も知らされなかった国民が、その実体を知って疑問を持つように なるのは当然である。 言うまでも無く検察審査会制度の最大の問題は、2009年5月の改正法に よって導入された強制起訴制度だ。 すなわち任意で選ばれたという素人の審査委員が、「起訴すべき」と二度 判断すれが強制的に起訴されることになった事だ。 しかもその審査にかかわる手続きがまったく不明である。 検察審査会制度は1948年の占領下で民主化の一環として出来た制度で あるという。長年誰も関心を持たなかった。どうでもいい制度であったのだ。 それが2年前の改革で強制起訴制度が導入されてにわかに大きな問題となった。 なぜ急にそんな改革がなされたのか。それは小泉政権下で行なわれた司法制度 改革の結果である。 小泉構造改革の名の下に、わけもわからずに何でも改革された。 その司法改革制度の一つに裁判官制度があり、やはりこれも2009年5月 から始まった。 この裁判員制度もまた大変な賛否両論があることは周知の事実だ。 10月7日の朝日新聞は、東京高裁の裁判長が6日、「一審の審理は、 いささか相当ではない」という異例の指摘を控訴審で行なったと報じている。 裁判員制度もまた実施されてから一年経って、政府やメディアは成功ばかり を強調しているが大きな問題にぶつかっている。 裁判員制度といい、検察審査会制度といい、矛盾だらけなのだ。ついでに 言えば 、わずか数年で頓挫した法曹育成の法科大学院制度などもその一つだろう。 なぜこんな不備が起きたのか。その元凶は司法制度改革なるものが、小泉 首相はもちろん、担当大臣(法務大臣)も国会議員も、だれもその内容を 知らずに行なわれてきたからだ。 あらゆる情報を勘案して私なりに断言すれば、司法制度改革とは、司法の 民主化を訴える人権弁護士と、都合のいいところだけ責任を国民に転嫁しようと する検察、司法官僚の呉越同舟で出来たものであり、それに裁判の迅速を願った 財界が乗った、というものだ。 国民の意見など最初からどこにもない。 司法関係者ばかりで勝手に決められた司法制度改革が正しかったのか。 今こそ衆人環視の下で再検証しなければならない。 はからずも小沢問題で表面化した検察審査会制度の不備の根は、実に深い 了 おしらせ ベンジャミン・フルフォードと天木直人の共同講演会のお知らせ 記 テーマ:民主党政権に任せたら日本はどうなる?今すぐ日本を良くする処方箋 (構成: 天木直人講演、ベンジャミン・フルフォード講演、ベンジャミン VS天木氏による対談、質疑応答) 日時: 2010年10月9日(土) 14:00~17:00(受付は 13時半から) 場所: 千駄ヶ谷区民会館 2F (東京都渋谷区神宮前1-1-10) アクセス: JR山の手線 原宿駅「竹下口」 徒歩6分 費用: 3000円 (学生2000円) 申し込み方法: 氏名、連絡先 、参加人数、支払い方法(持参又は振込み) を明記の上、 メール(benjaminoffice88@gmail.com)にてお申し込み下さい。 問い合わせ先: ベンジャミン・フルフォード事務所 (benjaminoffice88@gmail.com)
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)