□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月22日発行 第105号 ■ =============================================================== 馬渕新国交大臣が取り組む最大の課題はアスベスト問題だ =============================================================== 私が正しい政治家であれば馬渕新国交大臣に質問するだろう。 私が大手新聞の記者であれば馬渕新国交大臣にインタビューするだろう。 私が市民運動家なら馬渕新国交大臣に詰め寄るだろう。 この国の建築物に関する耐震強度問題とアスベスト問題について、今一度 国民の前に情報公開し、正しい政策をとってくれと。 9月20日の読売新聞は全国の国立大学や研究施設の多くが国の耐震強度 安全基準を満たしていないことがわかったと一面トップでスクープした。 その総床面積は東京ドームの約50倍だという。 文部科学省所轄の建物でこれだ。すべての公共建築物をあわせるともっと ある。 民間の建物を含めるとさらに膨大になるに違いない。 この読売新聞のスクープを評価したい。大騒ぎした耐震偽装問題はその後 曖昧なままに終わってしまっている事を浮き彫りにしてくれたからだ。 しかし耐震強度問題を取り上げるなら同時にアスベスト問題を取り上げない と片手落ちだ。 いや、曲がりなりにも対策を講じた耐震問題より、まったく放置されている アスベスト問題のほうがはるかに事態は深刻だ。 読売の記事にはアスベスト問題については一言の言及もない。 そう思っていたら翌日9月21日の東京新聞が、建設廃材の中に含まれている アスベスト放置問題について再び大きく取り上げた。 東京新聞は建築廃材に含まれるアスベスト処理の不徹底さについてスクープし て以来、連日のようにこの問題を紙面で大きく取り上げて警鐘を鳴らしてきた。 他のメディアが知らないはずはない。国交省が知らないはずはない。 実は耐震偽装問題とアスベスト問題は表裏一体の問題である。 耐震偽装問題が騒がれた時、国交省はアスベスト問題も抱えていた。むしろ アスベスト問題のほうが厄介だった。 耐震偽装問題の騒ぎにまぎれて放置されたアスベスト問題は、耐震偽装問題 の騒ぎがメディアから消えるとともに闇に沈んだ。 しかし読売新聞と東京新聞の一連のスクープは、国交省行政の不徹底さにより そのいずれもが不十分なまま放置されていることを教えてくれたのだ。 問題が表面化したときは大騒ぎするけれど、ほとぼりが冷めればやり過ごす。 そして長い年月がたってその被害が顕在化して再び大騒ぎする。その裏で多くの 犠牲者がでる。 このような行政の不作為、不徹底の罪はもういい加減なくさなければいけない。 それが政治主導というものではないのか。 馬渕澄夫という政治家は耐震偽装の追及で名を売った政治家だ。 あの時イーホームズの藤田社長から情報をもらい国会質問を繰り返した政治家 だ。いわば藤田社長を利用して出世した政治家である。 これも一つのめぐりあわせだろう。 その馬渕氏が国交大臣に抜擢された。 いまこそ馬渕大臣は藤田社長の無念に報いるべきだ。国交省の官僚たちの尻 を叩いて正しい仕事をするように命じるべきだ。 もし馬渕国交大臣がその在任中に耐震構造問題やアスベスト問題に一切手を つける事がないとしたら、彼のこころざしは偽者だということだ。官僚に取り込 まれたということだ。 人の真贋を見極める事はそんなに難しい事ではない。 了
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