□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月20日発行 第103号 ■ =============================================================== ジュリアン・アサンジュ氏とウィキリークスが世界を変える日が来る ================================================================ アフガニスタン駐留米軍の非道ぶりを暴露して注目を集めた告発サイトの ウィキリークス。 その創設者であるジュリアン・アサンジュ(39)という人物のさらなる 行動に私は期待する。 私が注目したのは発売中のニューズウィーク誌日本語版9月22日号に書か れていた次の記事だ。 すなわち今度はイラク戦争に関する機密文書を暴露するという。 アフガン関連の告発機密文書は9万2000点だったけれど、イラク戦争に 関する文書はその約3倍にも上るという。 アフガンの場合と同じように複数のメディアがそれを同じ日に一斉に報道 するという。 その時期は数週間後であるという。 楽しみだ。ワクワクする。 この文書の公表によってイラク戦争の決定的な検証が行われることになる だろう。本物の検証が行われるだろう。その時世界のメディアは大騒ぎをする だろう。 もちろん無事にそれが計画どおりきるかどうかはわからない。告発前につぶ されるかもしれないからだ。 なにしろ米国防省はアサンジュ氏の居所を必死で探しているという。 アサンジュ氏は婦女暴行などの容疑で指名手配されているという。 しかし誰も彼の告発を止める事はできないだろう。 私がそう思う理由の一つは欧米の複数のメディアが協力しているからだ。 アフガンの時もそうであったが、今度のイラク戦争関連文書は事前にそれら メディアに渡され、その信憑性が検証される。事実だという確証を得た上で 報道される。つまりウィキリークスとメディアの共同作業なのだ。 それどころか、そのニューズウィークの記事によれば、ロンドンに拠点を置く 調査報道協会なる組織と数カ国のテレビ局や新聞社が共同して、ウィキリークス が提供するイラク関連の機密文書を元にドキュメンタリーまで作成中だという。 そのテレビ局や新聞社にはイラク戦争を行なった米英のテレビ局や新聞社が 含まれているに違いない。たとえそれが自分たちの政府に不利になろうとも ジャーナリズムの使命を優先するのだ。 もう一つの理由は、アサンジュという人物と彼を支える支援者の存在だ。 報じられるところによるとオーストラリアうまれのアサンジュ氏の略歴は 30回以上も転向を繰り返す子ども時代をすごしながらコンピューター・ プログラミングを独習。ハッカーを繰り返して逮捕される前科があるという。 日本ではたちどころに鼻つまみ者にされてしまうような人物だ。 そんな若者が、自分は「良心的なハッカーだ。被害者がでるような悪質な ハッキングはしていない」と主張し、将来の夢は「国家機密を暴き、透明性を 高めることで汚職を減らし、政府をよりよくし、民主主義を強化すること」だ と夢を語る。 その夢を実現したのが2006年に立ち上げた「大衆のための初の情報機関」 ウィキリークスであるという。 そんなアサンジュ氏を支持する無名の知的支援者が世界に存在する。 絶対的な権力者の悪をあばく一人の若者の挑戦とそれを支える見えない 支援者。 米国はもうひとつの「テロとの戦い」に直面する事になる。 了
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