□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月8日発行 第83号 ■ =============================================================== オスプレイ配備問題を9月12日の名護市議会選挙の争点にせよ ================================================================ 民主党代表選挙の結果が明らかになる9月14日の直前に、普天間基地の 移転先である名護市の市議会選挙がある。12月12日投開票である。 普天間問題への対応が民主党代表選挙の争点の一つとなっているのに、その 直前に行なわれる名護市議会選挙がまったく報道されないということはどう見 ても異常だ。 名護市議会選挙隠しである。 おまけに名護市議会選挙そのものが普天間問題隠しに走っている。 普天間問題ばかりを言っても一銭の得にもならない。名護市の経済発展、 雇用確保の実現こそ最重要問題だ、というわけだ。 それは日米合意を沖縄に受け入れさせようとする菅民主党政権にとっては 好都合だ。 予算配分権を握っている菅民主党政権は基地受け入れと引き換えにカネを ばら撒くと約束して、基地受け入れ議員を勝たせようとするだろう。 自民党政権の時とまったく同じ図式だ。 しかしそうは行かない。 オスプレイ問題が急浮上してきたからだ。最新型垂直離着陸輸送機を名護市 に配備する問題が表面化したからだ。 この事を9月7日の東京新聞「こちら特報部」が見事に取り上げている。 オスプレイ問題については8月31日のメルマガ第73号「日米同盟がある 限り日本は苦しむ事になる」で書いたからここでは繰り返さない。 ここで強調したい事はただ一つ。今となってはこの問題に普天間基地移転 問題のすべてが集中するだろうということだ。 ただでさえ沖縄住民の安全と騒音被害が普天間問題の焦点となっている時に、 危険と騒音の塊のような新型ヘリを名護市へ配備しようとする米国の傲慢さ。 そんな米国の無理難題は沖縄住民や日本国民にはとても説明できないから 隠し続けてきた日本政府。 日米同盟の矛盾を隠蔽する愚を菅民主党政権もまた繰り返そうとするのか。 情報公開こそ民主党の最重要マニフェストであったはずではなかったか。 しかし、いくら隠そうとしてももはや隠せなくなった。米国の方からそれを 日本国民に知らせろ、飲ませろ、と日本に迫ってきたからだ。 このオスプレイ問題が急浮上したのが8月末の日米専門家会議であった事は 極めて重要な意味を持つ。 本来ならば普天間問題の最終決着を図るはずの8月末の日米専門家会議で あった。日本政府は是非ともそうしたかった。その会議で米国の方から、 あらたな難題を求めてきたのである。 東京新聞は言う。オスプレイ配備を認めるなら経路の変更も、環境影響評価 (アセスメント)も、なにもかも見直さざるを得ない、と。 それは取りも直さず米国の都合で日米合意を見直さざるを得ないという事だ。 それよりもなによりも、菅民主党政権はこんなオスプレイの名護市配備を認め る事ができるのか。 名護市会議員はそれを許すのか。 米国が公表を迫ってきたオスプレイ配備問題は今や普天間問題の最大の問題で ある。 それを認めるかどうかが名護市議会選挙の最大の争点とならなければおかしい。 対米従属の大手メディアはオスプレイ問題を握り潰そうとするだろう。 日米合意の重要性を繰り返す菅直人首相はオスプレイ問題から逃げようとする だろう。 しかし東京新聞が取り上げてしまった。 握りつぶせない。逃げ切れない。 9月12日の名護市議会選挙は小沢・菅の一騎打ちの関が原の戦いとなる。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)