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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

日米同盟があるかぎり日本は苦しむ事になる
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年8月31日発行 第73号 ■        ===============================================================        日米同盟があるかぎり日本は苦む事になる                                      ================================================================    8月30日の産経新聞に重要なスクープを見つけた。誰も指摘してこなかった 大スクープだ。  日米同盟がある限り日本は苦しみ続ける事になる。国民に嘘をつき続ける事 になる。  そういう私の確信を見事に証明してくれたスクープだ。  その事について書く。  昨日(8月30日)のメルマガで、私は書いた。  米国が先の日米外務・防衛当局の専門家協議で沖縄に垂直離着陸機 オスプレイを配備する方針を伝えてきたと29日の各紙が一斉に報じたと。  それは辺野古飛行場の飛行ルートの変更を米国の方から一方的に求めてきた という事であり、米国の方から日米合意を変更してきた事を意味する。  決して日本の責任ではない。  ましてや小沢政権ができれば日米関係が危うくなる事ではない。  普天間基地移設に関する合意を米国が変更しようとしてきた以上、普天間 問題は再交渉するしかないではないか。  そう私は強調した。  ところが8月30日の産経新聞の報道は、まったく異なる日米交渉がかねて から行なわれていた事を教えてくれた。  日米専門家協議の争点は、普天間問題ではなくオスプレイ配備に対する米国 のゴリ押しに対する日本側の抵抗であったのだ。  すなわち米海兵隊はかねてから老朽化した輸送ヘリをオスプレイに切り替える 事を計画し、それを日本に伝えていたという。  ところがオスプレイは開発段階で事故が相次いだ危険な臨戦輸送機だ。  オスプレイは普通のヘリコプターではない。高速で長い距離を航続できる オスプレイは住宅に近接した空域を飛ぶ事になる。飛行経路が大回りとなり、 住宅に近接した空域を飛ぶことになる。住民の危険度ははるかに高まる。  地元の反発は必死だ。  そんな要求を飲む事は沖縄県民はおろか日本国民からも反発が出る。  だから日本政府は米国の要求を国民から隠蔽してきたという。  それに対し米国がついに痺れを切らし、いつになったら国民に本当の事を 説明するのか、と日本側の隠蔽体質を批判したという。  オスプレイを認めるかどうかで辺野古沖に建設する代替飛行場の滑走路設計 が変わる。  オスプレイを認めるかどうかが決まらないから8月31日に滑走路を一本に するか2本にするか、V字型にするか、などが決まらない。  だから8月31日に発表される日米専門家会合の報告書も滑走路についての 決着がつかないまま複数案の併記となるという。  この事は何を意味しているのか。  日米間でこれまで交渉してきた最大の問題は普天間基地移設の沖縄県外・国外 問題ではなかった。  沖縄県民にとって認めがたいオスプレイを沖縄に配置するという米国のゴリ 押しを、飲むか飲まないかという問題であったのだ。  日米同盟があるかぎり米国は米国の軍事政策への協力を日本に求め続けてくる。  その要求は日本国民に不当、不合理な負担を求めるものが多い。  軍事政策について米国は日本に譲歩することはない。最後は日本政府は譲歩 させられる。  しかしそれを国民に正しく伝えるわけにはいかない。だから隠蔽し、嘘をつく。 この繰り返しである。  もう一度強調しておく。  普天間基地移転問題の本質は県外・国外問題ではない。  不当・不合理な米国の要求を国民に隠し、嘘をついてまで認めなければなら ない日米同盟とは何か。日米同盟の意義とはないか、という根本問題なのである。  その事を8月30日の産経新聞のスクープは初めて教えてくれた。  この問題についての議論を一切する事なく、日米同盟は当たり前だと思わせ てきた日本政府の矛盾がいよいよ破綻しつつあるということだ。  菅でも仙谷でも鳩山でも小沢でもよい。トロイカ体制でも何でもいい。  日本国民をとるか米国をとるか。  誰がこの国の指導者になろうとも、それをはっきりさせざるを得なくなり つつあるということだ。  おもしろくなってきた。                                  了                        

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