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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

小沢政権でなくても日米合意は白紙に戻さざるを得ない
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年8月30日発行 第72号 ■        ===============================================================        小沢政権でなくても日米合意は白紙に戻さざるを得ない                                      ================================================================    民主党の代表選挙が普天間問題を更に混沌とさせる事になると、どの新聞も 書き立てる。  その理由として小沢氏は辺野古移設に否定的であり、小沢氏が代表選挙に勝て ば日米共同声明の見直しを言いだしかねないからだと言う。  あたかも小沢氏が日本の首相になれば日米同盟が危ういと言わんばかりだ。  とんでもない間違った認識だ。  いや、無知な国民をだます悪意のある報道の臭いすら感じてしまう。  確かに国防総省主導の米政府は辺野古移設の早期決着にこだわっているかも しれない。  しかし、普天間基地の辺野古移転とパッケージである沖縄海兵隊のグアム 移転は、軍事予算削減を至上命題とする米国議会の反対で大幅に遅れる事に なった。  米側が言い出したパッケージ論が、米側の内部事情で崩れ去ったのだ。  おまけに軍事予算削減のために一旦合意された経費分担も、米側の一方的な 要求で日本側の負担が増額されようとしている。  それでも日本は文句の一つも言わずに米国の要望に応じようとしている。  菅内閣は、そのような米国の無理に対しても、国際協力銀行の融資まで 使ってグアムのインフラ整備経費の肩代わりしようとしている(8月26日 朝日)。  採算が取れないようなインフラ整備に融資するなどという事は、おきて破り であるというのに。  それだけでも我慢ならないのに、グアム移転の遅れにとどまらず、今度は 辺野古沖飛行場建設の合意さえも米国側が変更を求めてきた事が明らかに なった。  その事を8月29日の各紙が報じている。  すなわち終わったばかりの日米外務・防衛当局の専門家協議では、米側は 沖縄に垂直離着陸機オスプレイを配備する方針を伝えてきたという。それに ともなって、苦労して合意した飛行ルートの変更を米国の方から一方的に求め てきたというのだ。  8月29日の毎日新聞の次の書き振りが、日本側の当惑振りを物語っている。  「・・・日本政府はオスプレイ配備は決定していない・・・ヘリコプターを 想定した現在の飛行ルートをオスプレイ配備に合わせて変更する事に難色を示し ている・・・調整がついていない飛行ルートについては明確にせず、実質先送り する方針だ・・・」  なんの事はない。普天間合意は日本側が沖縄の声を踏みにじってまでも米国に 誠実に実行しようとしているのに、米国内部の迷走によりまとまらないのだ。  繰り返して言う。日本のメディアがこぞって報じる普天間基地問題の迷走は、 日本側のせいではない。ましてや小沢一郎のせいではない。  米側の事情による変更に次ぐ変更で、もはや日米合意がグジャグジャになって いるのだ。  日米合意その物を、もう一度国民の目の前でわかりやすく再交渉しなければ ならいということなのである。  なぜこの真実をメディアは正直に国民に知らせないのか。  強い違和感を抱かざるをえない。                                了                        

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