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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

納税者である我々は次期戦闘機購入をめぐる実態に目を向けるべきだ
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月23日発行 第64号 ■        ===============================================================         納税者である我々は次期戦闘機購入をめぐる実態に目を向けるべきだ                                        ================================================================      こういう記事を見つけるとまるで宝物を見つけたように私は喜ぶ。  一人でも多くの人にその情報を分かち合いたいと思う。  8月22日の産経新聞は我が国の次期戦闘機購入をめぐる政府内部の混迷を 見事に活写する二つのエピソードを紹介していた。  武器を持つ以上少しでも相手より性能の高い武器が欲しい。戦争が起これば 死活問題になるからだ。  しかしもう一つの理由がある。使う者にとっては優越感に浸れる。野心が 満たされる。  だから航空自衛隊としては抜群に戦闘力の高い米国の最新戦闘機F22が欲 しくてたまらない。  ところが米国議会は軍事機密性の高いF22の海外輸出を認めず、ゲーツ 国防長官もそれならとコストの高いF22の調達を中止した。  航空自衛隊はそれでもあきらめきれない。  8月17日リチャード・マイヤーズ元米統合参謀本部長が民主党の防衛部門 会議座長である神風(じんぷう)英男衆院議員を訪れた時、神風議員は、航空 自衛隊の要求を受けて「ゲーツ国防長官が辞任するそうだが、そうなると F22を調達できるのか」ととぼけた質問をしたという。  マイヤーズ氏は「F22は調達中止になっており難しい」とあっさりこれを 否定。  航空自衛隊は次善の戦闘機としてF35の導入を考えている。F22に比べれ ば性能は劣るがこれも高性能の米戦闘機である。  しかしこのF35も難点がある。技術を米国に独占された上に開発の遅れ によるタイムリーな導入に不安があるからだ。  そこで神風議員はマイヤーズ氏に「F35はいつ導入できるのか、F35の 話に乗っていいのか疑問がある」とけん制した上で、「ユーロファイター(註: 欧州が共同開発し英独仏などが採用)という選択肢もあるのではないか」と おそるおそる打診したところ、マイヤーズ氏は一切コメントをしなかったという。  もう一つのエピソードは次期戦闘機導入をめぐって7月末に防衛省の会議室で 背広組(内局)と制服組(自衛隊)の間でかわされた激しい議論である。  すなわちF35の導入が間に合わなければとりあえず現行のF2を一部購入し て、F35は余裕を持って米国と交渉すべきだと内局が主張した。  これに対し空自幹部はとんでもないと言わんばかりにすぐに次のように反論し たという。 「一国も早くF35導入に動かないと手遅れになる」、と。  この二つのエピソードで明らかな事は、一つは日本は米国の軍需産業のお得意 さんであり続ける宿命にあるということだ。  もう一つは、日本の装備は高性能の武器が欲しいと迫る制服組の野望に寄り 切られて決められるという現実だ。  これが我が国の軍事予算執行の実態である。  それが安い買い物であればやり過ごせるかも知れない。  しかし一機百億円単位の戦闘機、総額1兆円にものぼるとされる戦闘機購入 予算だ。  それが、すきま風が吹く日米同盟をつなぎとめるるために米軍需産業の収入 源として支払われる。  あの田母神元航空幕僚長も「のどから手が出る」ほど欲しがったという F22。装備は制服組の野望を満たす莫大な玩具のごとく購入される。  その田母神氏は退官後至るところで米国から割高な武器を買わされ続けてきた とうそぶいている。  当たり前のように消費税導入で脅かされる納税者は、防衛予算の使われ方に もっと鋭敏にならなければいけない。  蓮舫議員は武器購入予算こそ、事業仕分けの腕を振るわなければならない。                                 了

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