… … …(記事全文2,241文字)「軍国主義」という言葉が使われるとき
戦場が変わったことを、誰が一番よく知っているか
中国は近年、日本の防衛政策に対して、決まって同じ言葉を投げかける。「日本は軍国主義を復活させようとしている」「防衛費増額は悪辣なたくらみだ」「右翼勢力が民意を扇動している」
時事通信をはじめ、複数のメディアが報じているおなじみの定型文だ。
だが、この言葉が発せられる直前の「現実」を冷静に並べてみると、違和感ははっきりする。
中国はすでに空母3隻体制に入り、無人機・無人艦・無人潜水艇を量産し、台湾周辺では軍事的圧力が常態化している。国防費は30年近く、ほぼ右肩上がりだ。
一方、日本はどうか。防衛費は増額されたとはいえ、あくまで専守防衛の枠内。核兵器は保有せず、先制攻撃能力も限定的だ。無人機についても、いまだ「実証+初期量産」の段階にある。
つまり、同じ「防衛費増」と言っても、その中身はまったく違う。
それでも中国は、日本を「軍国主義」と呼ぶ。この言葉の目的は明確だ。日本に「動くな」「考えるな」と言いたい。これは典型的な認知戦・言論戦である。
実際、「日本は軍国主義だ」という主張は、国際社会ではほとんど通用していない。なぜなら、いま世界が見ているのは、別の戦争の姿だからだ。
【戦場は、すでに変わっている】
その「変化」を、最も具体的に示しているのが、CSIS(戦略国際問題研究所)ワドワニAIセンターが2025年3月に発表したレポートだ。ウクライナ戦争を通じて、戦争がAIと自律システムの戦争へ移行している現実を、実務レベルで分析している。
このレポートの結論は明快である。
ウクライナは、完全自律兵器にはまだ到達していない。しかし、AIによる「部分的自律化」は、すでに戦場の勝敗を左右している。そして、人間を前線から減らし、AI搭載ドローンと無人システムで戦う方向へ、国家戦略として明確に舵を切っている。
ウクライナ軍の中心的な目標は、「兵士を前線から引き剥がすこと」だ。
理由は単純で、残酷だ。人数でロシアに勝てない。人間は疲れ、恐怖を感じ、ミスをする。電子戦環境では、人間による遠隔操作そのものが限界に達する。
その結果、戦場ではこうした構造が定着しつつある。
人間は最終判断者。戦闘行為の大部分は、AIと無人機が担う。
