… … …(記事全文3,752文字)【能登半島地震シリーズ 装備品 手袋】
フーミーの読者の皆様、こんにちわ。小笠原理恵です。
能登半島地震の自衛隊の処遇や内情に関する記事をHanada Plusに書きました。
その中から、自衛隊員の手袋に焦点を当ててお話しします。なお、この手袋が不足する問題については国会議員を通して善処していただけるように防衛省関係に申し入れをしていますので、防寒具・耳当て等と共に、「対処する」と言っていただけています。いずれ改善してくれることと願っています。
【災害派遣と防衛費拡大】
東日本大震災の災害派遣で、手袋が破れたまま活動する自衛隊員の姿が配信されて大きな話題になりました。災害派遣時はその現場にあった消耗品が必要になります。
昨年から2028年までの5年間の防衛予算は43兆円規模に増額することになっています。これで自衛隊員の装備品も待遇も良くなるはずです。良くなるポイントも別の記事で解説します。
しかし現在、災害派遣中の自衛隊員に必要な装備品や消耗品は、まだ十分に配備されていません。
参議院の和田政宗議員や若林洋平議員らと連携して、喫緊の課題を改善するよう努力しています。今回のMLではその課題について解説していきます。
自衛隊の予算は、1976年の三木内閣が国民総生産(GNP)比1%を「超えない」と決め、その後、中曽根内閣が撤廃したものの、GDP費1%をほとんど超えないまま推移してきました。他の国と比べると、国防費のGDP比は主要7カ国(G7)のなかで日本が最も低いのが実態です。英国やフランスの1人あたりの国防費は日本の2倍以上です。このため、自衛隊は常に必要なものも我慢してきました。その本分である国防に係る業務ですら、必要なものを自衛隊員の自腹で賄わなければならないほどでした
自衛隊の任務は、「国の防衛(我が国を守る)」、「災害派遣(暮らしを守る)」、「国際貢献(世界のために貢献する)」と広がってきていますが、自衛隊員は増員するどころか数を減らしています。
新たに始まった災害派遣に対して、そのための予算増額や災害派遣用の隊員への装備品整備もほとんどありません。現場に行って初めて様々なものが足らず、自衛隊員の装備品が力不足だったと痛感する状態が未だ続いています。
トイレットペーパーやセロテープ、バンドエイド等、ごく日常的な事務用品や医療品ですら補給されずに自腹購入している自衛隊員に、災害派遣に必要な物品は備蓄されていないのです。
【隊員の物品購入と経費精算】
自衛隊の予算には、その現場に必要なものを臨機応変にホームセンターやワークマン等で調達して経費精算する仕組みがありません。その場の現場判断で必要な物品は自衛隊員の自腹負担となります。
必要な物品の現場調達に対して、一般企業のように領収書で経費精算できる仕組みが必要です。でなければ、今回の災害派遣でも自衛隊員の大切な貯金が目減りしてしまうことになります。
自衛隊員の災害派遣手当は、日額で1,620円、作業が著しく困難な場合は日額3,240円です。もし、領収書で経費精算する仕組みができないのなら、この災害派遣手当に自衛隊員が支払う経費分を上乗せして支払ってはどうかと思います。米軍の生活手当のBASのように、食費や生活消耗品、トイレットぺーパーも含めた必要経費を想定して事前に支払うやり方を検討してほしいと思います。
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(追記 米軍BASとは)
米軍は給料とは別に生活の基本手当としてBAS(Basic Allowance for Subsistence)が加算されます。2023年度、軍に所属したばかりの兵士(Enlisted)に対して452.56ドル(約6万7000円)が支給されました。また、士官も給料が高額にもかかわらず、311.68ドル(約4万6000円)が支給されました。