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社会主義はエリート意識から誕生する~ハイエク『知識人と社会主義』を読んで~
何年も前に、経済学者F.A.ハイエクは「知識人と社会主義」という衝撃的な論文を書いた。彼は、社会主義を要求したのは決して労働者や農民ではないと説明した。社会主義を要求したのは常に支配階級の組織の中で活動する知識人であったと述べた。
論文の中で彼はこう言っている。アメリカの知識人の間では、ドイツ人やイギリス人の間でかつてそうであったのと同じくらい、計画的で指示された経済体制に対する魅力が強かった。
社会主義が当初、労働者階級の運動であったことはない。それは 長い間、知識人だけが親しんできた抽象的な思想から生まれた。そして、労働者階級を説得するには、知識人たちの長い努力が必要だった。ハイエクは『知識人』と言っても、例え有名な科学者であっても、彼らが政治的な発言を行うと、その情報源は、左翼にまみれたメディアによる所が多く、途端に社会主義的になると指摘している。実績のある科学者や、なんらかの研究者であるほど、全く専門外であるにも関わらず、人は耳を傾けてしまう事が多い。こういうタイプの社会への影響力は大きいとハイエクは指摘している。
また、『社会主義が当初、労働者階級の運動であったことはない。それは 長い間、知識人だけが親しんできた抽象的な思想から生まれた。』という指摘も的を射ている。そもそも共産主義の聖典『資本論』を書いたマルクスも、いわゆる知識人というグループに属する。
そして、今回、私が着目したいのは、『知識人の間では、計画的で指示された経済体制に対する魅力が強かった。』という点だ。
これは現代社会における警告でもある。
日本で、いや世界の先進国で起きている事への警告でもあるからだ。
そして、それはハイエクに論破され、ソ連崩壊で完全否定したはずので社会主義・共産主義が形を変えて現れてきた事とも関係がある。
その全ての原因は、ここにある!とまで言うつもりは無いが、非常に大きな重要な視点であると私は考える。
日本でも、アメリカでも『知識人』と言われる者や、『エリートと自負する者』が、社会主義的思想の出発点となっている事は、今も昔もなんら変わっていないのだ。
ならば、まずは日本のエリートと自負する官僚を例にとり説明していく。
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