… … …(記事全文5,340文字)とうとう悲劇が起こってしまった。新型コロナワクチン後遺症患者の会(以下、「患者の会」)の広報を担当していた後遺症当事者の男性が、X(旧ツイッター)上での集中非難に堪え切れず、自殺未遂を起こしたのだ。
「主人が自死を試みました。何かご存じの方いらっしゃいましたら情報提供をお願いいたします」
2023年9月2日朝、その当事者のアカウントに妻らしき人がこんな投稿をしているという知らせが、私のXのダイレクトメッセージに届いた。投稿はすぐに消されてしまったようだが、真偽を確かめるため、私は患者の会の代表に連絡した。代表によると、患者の会のグループチャットに「お世話になりました」と書き込みがあった後、連絡が途絶えてしまったという。
その後、しばらくして代表から、「奥様と連絡が取れた」と連絡が来た。命は取りとめたものの、事実であることが判明した。その後、数日してから男性自身からも「迷惑をかけて申し訳ない」と連絡があった。だが、患者の会への復帰は考えられない状況だそうだ。それはそうだろう。自死を試みるほど心と体が傷ついたのだ。いまは何もかも忘れて、ご家族とともに静養に専念してほしい。心身のご回復を心から祈るばかりだ。
代表によると、この男性はコロナワクチン接種後に重い障害を負ってしまい、仕事を辞めざるを得なくなってしまったという。しかし、患者の会の運営の人たちの熱心な活動に心を動かされ、「パソコンの前になら座れるから」といって、広報担当をみずから買って出た。
しかし、そのために、患者の会に対する集中非難の矢面に立たされることになった。どんなに説明しても、揚げ足をとって執拗に絡む人がいる。嫌になってそのアカウントをブロックすると、それもスクショされて晒される。そのあげく、自死を試みるほど追い詰められてしまった。
私もXやネットで集中攻撃されたことがあるので、その辛さが分かる。ましてや、ワクチンによって仕事ができないほどの傷を、体と心に負っているのだ。ただでさえ辛い状況にあるのに、さらに傷を抉られた男性の心中を想像すると、苦しみ、怒り、悲しみの感情が沸き上がり、息が詰まりそうだ──。
X(ツイッター)では言えない本音
鳥集徹(ジャーナリスト)