… … …(記事全文3,341文字)◆何のための記者会見だったのか
1月17日、フジテレビの港浩一社長は中居正広のスキャンダルを受けて記者会見を開きました。ところが会見とは名ばかりで、何を訊かれても「調査中です」「弁護士を入れて第三者委員会を設置して調査します」の一点張り。まったく内容がありませんでした。しかも会見場に入れるのは「東京放送記者会」に加盟している新聞、テレビ、ラジオの記者だけでフリーの記者やネットメディアは排除されていました。驚愕したのはテレビ局の社長の会見だというのになんと! テレビカメラも入れず、スマホの撮影も禁止。冒頭、起立する社長を撮った静止画像が唯一、会見をやった証拠として残りました。こんな会見ならやらない方が良かったのではないか。何のために会見をやったのでしょうか。
1月14日、アクティビスト(物言う株主)として知られるアメリカの投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」がフジ・メディア・ホールディングス(HD)に送った書簡を公式ホームページで公表しました。「ダルトン・インベストメンツ」はフジ・メディアHDの株式を7%以上保有する大株主です。「第三者委員会の設置と信頼回復の要請」と題した書簡には、「今回の騒動にわれわれは激怒している!(we are outraged!)」という、めったに使わない表現が使われており、「エンターテインメント業界の問題だけでなく、コーポレートガバナンスの重大な欠陥を露呈している」「視聴者やスポンサーの信頼を維持することは、会社の維持に不可欠な要素」と厳しく指摘しました。
おそらく港社長はこの書簡を見て震えあがったのでしょう。慌てて記者会見をしようとしたのですが、これまで調査らしいことは何もしていないので記者の質問に答えられません。しかし、実は中居正広は渡邉渚アナウンサーとの間で起きたことを社長に報告していたようです。だから社長は知っていたのです。知っていながら何の手も打たず一年半もの間、中居を番組に起用し続けました。渡邉アナを中居に「献上した」中嶋優一編成部長を呼んで事情を訊くこともせず、渡邉アナが被害を訴えた佐々木恭子アナウンス室部長も責任を問われることはありませんでした。