… … …(記事全文3,870文字)◆バイデンが核の脅威を語る矛盾
10月11日、今年のノーベル平和賞に日本被団協(日本原水爆被爆者団体協議会)が選ばれたことを受けて12日、被団協の役員7人は会見を開き、喜びを語りました。翌13日、バイデン大統領は日本被団協のノーベル賞受賞決定について「核兵器が二度と使われないようにするための歴史的な活動が評価された」と祝意を示しました。 去年5月に自分が広島を訪問したことにも言及し、「被爆者と面会した際に強く感じたように、世界から核兵器をなくすことができる日に向けて、私たちは前進を続けなければならない」と述べ、また「アメリカは核の脅威を減らすために、ロシア・中国・北朝鮮と前提条件なしに協議する用意がある」「核兵器の削減を先延ばしすることは世界にとって何のメリットもない」と語りました。
68年間、地道に核廃絶を訴えてきた日本被団協の方たちの活動には敬意を表します。しかし日本被団協のノーベル平和賞受賞が核廃絶に向けての前進を示すものだと無邪気に喜べる人はおそらくいないでしょう。広島と長崎に原爆攻撃をしたアメリカはまだ謝罪をしていません。被爆者団体に祝意を示す前に謝罪をするべきではないでしょうか。バイデン大統領は今もウクライナにせっせと武器を送り続けています。さらにイスラエル支援に前のめりになるバイデン大統領の姿勢はアメリカ国内にも亀裂を生んでいます。バイデン大統領に「世界から核兵器をなくすことができる日に向けて、私たちは前進を続けなければならない」などと言われても、どの口が言うのか、と呆れるばかりです。
アメリカの民主党系左派メディアの受け売りしか流さない日本のメディアは言いませんが、2年半以上続く戦闘が終わらない責任はロシアではなく西側、それも米英にあることは次第に明らかになっています。ロシアが「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ侵攻が行われた直後の2022年3月29日、トルコの仲介によってイスタンブールで露ウの和平交渉が行われました。停戦合意がまとまるかと思われた4月9日、イギリスのジョンソン首相(当時)がキエフを訪問し、ウクライナのゼレンスキー大統領に「英国はロシアとどんな合意も調印する気はない。ともにロシアと戦おう」と言って合意を壊しました。米英の首脳は和平を望んでいません。ウクライナやロシアの将兵が戦死し、民間人が苦しもうとも関係ないのです。