… … …(記事全文8,394文字)政治家の中には政策の説明よりも、過激な発言で注目を浴びる者がいる。過去にはハマコーこと浜田幸一がいた。現在なら、鈴木宗男参院議員もそうだろうか。最近では、この人が世間の話題をさらった。自民党の西田昌司参院議員である。
那覇市で3日、沖縄県神社庁や自民党県連、日本会議沖縄県本部などが主催する「憲法シンポジウム」が開かれた。ここで講演を行ったのが自民党の国場幸之助衆院議員と西田参院議員。講演の中で西田は、「日本人にとって一番大切なのは価値観や歴史観」「そのために必要不可欠な家族や教育を破壊し、日本解体を象徴しているのが今の憲法だ」「緊急事態が出てくる前に、国民を保護できるための法律の整備をしないといけない。そのためにはまず、われわれ自民党議員が、間違ってきた戦後の教育とか、でたらめなことをやってきたのをやめなきゃいけない」「憲法議論をする前に、なぜこのような憲法を持つに至ったか、正しい歴史をしっかりと知ることが大切だ」などと訴えた。お決まりの戦後教育批判と歴史認識である。
西田はふだんから「憲法改正」や「皇室の尊重」、「教育の正常化」などを強く主張する保守思想の持ち主であり、シンポジウムなどで改憲を訴えることは特に驚かない。これまでにも、日本国憲法の基本原則である国民主権を否定し、「二大政党制はいらない。自民一党でいい」といった放言が目立つ政治家だった。しかも今回のシンポジウムの主催者は、ごりごりの右派。聴衆もその手の人が大半である。調子に乗った西田は、とんでもないことを言い出した。それが以下である。
>かつて、私も何十年か前、国会議員になる前に、ひめゆりの塔にお参りに行ったことがある。今はどうか知りませんけど、ひどいですね。ひめゆりの塔で亡くなった女学生の方々が、たくさんおられるが、あの説明を見ていると、要するに日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆり(学徒)隊が死ぬことになっちゃったと。そして、アメリカが入ってきて、沖縄が解放されたと。
>そういう文脈で書いているじゃないですか。亡くなった方々は救われませんよ。本当に。だから、歴史を書き換えられると、こういうことになっちゃうわけですね。そういう話は結構、それなりの市民権を持っているわけですよ。
https://www.asahi.com/articles/AST582TQHT58TPOB001M.html
ご承知のように、西田の「ひめゆりの塔」発言は全方向から猛批判を浴びた。ひめゆり平和祈念資料館の館長は、そのような展示物や説明文は「過去も現在もない」と否定し、西田を厳しく批判した。沖縄県の玉城デニー知事は、「県民の心を深く傷つけ、極めて残念であり、憤りを禁じ得ない」とコメントし、「一連の発言は全く受け入れられない」と批判した。また、身内の自民党県連からもダメ出しを喰らう始末だった。
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