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宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

#007 『日本沈没』、アルミニウムとビットコイン、キューバが資本主義導入の第一歩へ
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ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00223/2021022121000076918 //////////////////////////////////////////////////////////////// 宮路秀作の本日ハ晴天ナリ ~「今、世界では何が起きているのか!?」を理解するために必要な基礎知識を知る~ https://foomii.com/00223 //////////////////////////////////////////////////////////////// 第7号(2021年2月21日発行)、今回のラインアップです。 ①世界各国の地理情報 ~『日本沈没』~ ②ブロックチェーンは地理から学べ!  ~#2 アルミニウムとビットコイン④~ ③みやじまん調べ! 今週の気になるニュースを解説!  ~キューバ、資本主義への扉をさらに開く長年の停滞越え~ //////////////////////////////////////////////////////////////// こんにちは。 地理講師&コラムニストの宮路秀作です。 日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。 今回で7回目のメルマガ配信となります。 コロナ禍となるずっと前から、わたくしは日本という国に閉塞感を覚えています。「コンプライアンス」という名の下に、「あれやってはダメ」、「これやってはダメ」がどんどん増えて、もはや日本国憲法で保障されている自由権が侵害されているのではないかと思うほどです。 これが強くなりすぎると、クレーム対策で仕事をするようになり、新しい価値が生まれにくい風土が形成されていきます。森喜朗元総理が「女性差別」をしたことで批判の声が大きくなり、東京オリンピック・パラリンピックの実行委員長を辞任しました。 もちろん、「差別」は良くないことですし、今回の森発言に擁護する気はありません。しかし、因果関係と相関関係を理解できない人がいるように、差別と区別の違いを理解できない人も一定数います。そういった人たちが、自分の感情だけで非科学的に批判を繰り返すようになると、辟易とした人たちが「触らぬ神に祟りなし」とばかりに離れていき、結局は何も解決しないまま、時が流れていくわけです。これは一種の同調圧力なのですが、批判の声を上げる人たちにありがちなのが、「同調圧力を嫌う人間が、最も同調圧力をかけている」ということです。 そして、結局「お前らが批判したいだけだろ?」という状況にもかかわらず、メディアは「批判の声が上がる恐れがある」と宣うわけです。日頃自ら情報を収集しにいかない、情報リテラシーの低い人たちはそういったオールドメディアにコロッと騙されるわけです。 メディアだけでなく、個人レベルにおいても、「存在すらしているかどうかもわからない敵を作り上げ、それを倒した(または論破した)俺ってすごい!」という自己アピールがすぎる、とても痛い人たちが現れ、リテラシーの低い人たちがまんまと彼らに賞賛してしまうわけです。 コロナ禍における、市中の声を思い出してみましょう。春先、確か医療崩壊を回避すべく、感染のピークをずらそうということで、「37.5℃以上の熱が4日以上続いた人」に限定してPCR検査が行われていたはずです。 そしていつしか安価で、いつでもどこでも誰でも検査ができるようになり、1月8日あたりにはピークアウトしていたにもかかわらず、また新規感染者は減少傾向にあるにも関わらず、「感染者数の減り方が鈍化した」など、これまで言わなかったことを持ち出して、なんとか「緊急事態宣言」を延長しようと企む人たちがいます。 このご時世、心に不安を抱える子供たちがたくさんいます。彼ら、彼女たちが自ら命を絶っています。しかし、「他者の不安の種こそが、自分の飯の種」という人たちがいて、彼らが不安を煽っているのが現状です。日本は、根拠のない理由で「ゴールのないマラソン」を続けようとしています。「次世代にツケを残すな!」と宣い、現役世代に苦労を強いると、そもそも次世代が現れない可能性もあるわけです。 仕事をしたふりの大人がいる。われわれは、それが誰なのかをしっかりと見極めておく必要があります。 それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。 よろしくお願いします! //////////////////////////////////////////////////////////////// ①世界各国の地理情報 ~日本沈没~ 先週、2月13日午後11時8分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震がありました。最大の震度は6強を記録、震源の深さは約60kmでした。気象庁の発表によると、2011年3月の東日本大震災の余震と考えられるそうです。わたくしが住んでいる東京23区もかなり揺れました。震度4を観測しました。 アメリカ合衆国地質調査所(USGS)は大地震の余震は何年にもわたって続く場合があるとしています。今回の地震で、東北新幹線が一部区間で運転を見合わせているとのことで、この時期大学受験で上京してくる受験生の足を奪ってしまいました。 1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震も同じくマグニチュード7.3でしたが、今回は直下型ではありませんでしたので、それほど大きな被害は起きませんでした。ちなみに、マグニチュードが1増えると、エネルギー量は31.6倍となります。東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震がマグニチュード9でしたので、マグニチュード7の地震のおよそ1000倍の大きさということになります。 さて、『日本沈没』というSF小説をご存じでしょうか。これは、1973年に小松左京によって著されたSF小説のタイトルです。日本には他者の顔色をうかがいながら仕事をしたふりの大人たちが数多くいて、今にも沈没しそうではありますが、そういった皮肉を込めたものではありません。 『日本沈没』は1973年と2006年に映画化され、他にテレビドラマやラジオドラマ、マンガなども製作されています。

▲『日本沈没』(光文社) 物語は、地球物理学者の田所雄介博士が、地震観測データから「日本列島に異変が起きている!」と直感し、調査に乗り出すことから始まります。深海調査艇「わだつみ」を使って、小野寺俊夫、幸長信彦とともに小笠原諸島沖の日本海溝に潜ります。この調査によって、田所博士は「日本列島は2年以内に、地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈没する」との結論を出します。 しかし田所博士の予想を超えるスピードで事態が進行し、日本列島の各地で巨大地震が相次ぎ、火山活動が活発化。休火山までもが活動を始めます。日本政府は日本人を海外へ脱出させる「D計画」を発動させますが、日本列島と運命を共にする選択をする人たちもいました。四国に始まり、ついに北関東での最後の大爆発を最後に日本列島は完全に消滅します。 高等学校の地理では、「プレートテクトニクス」について学びます。そして「民族」という単元もあります。今回はこれらについて思うことを書いてみます。

▲映画版『日本沈没』(2006年)。 1.日本列島は本当に沈没するのか? まず、原作の中に「休火山」という言葉が登場するのが興味深いです。「休火山」という用語は、現在は使用されていないものであり、かつては「火山活動の記録が残っているが、現在は目立った活動のない火山」のことを指して使われていました。「死火山」という用語も同様に、現在は使われなくなりました。 わたくしは1973年版の映画は観ていませんが、2006年版を観ました。そこで説明されていたものをベースにお話しします。 まず、日本列島は北アメリカプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートの4つのプレートにまたがって位置しているため、地殻変動が活発で自然災害が多いことは、みなさまもご存じの事と思います。日本列島のように、4つのプレートが集合する場所というのは、世界中を見渡しても他にありません。 海洋プレートで重い太平洋プレートやフィリピン海プレートは、大陸プレートで軽い北アメリカプレートやユーラシアプレートの下に沈み込んで行きます。このとき、大陸プレートを引っかけながら沈み込んでいきます。引っかかりがあるために大陸プレートがたわんでしまいます。たわんだ場所に海溝ができ、引っかかりが取れるとプレートが元に戻ろうとするため、このときに海溝型地震が発生します。2011年の東日本大震災をもたらした、東北地方太平洋沖地震などが好例です。

▲プレートの狭まる境界沈み込み型の模式図 (拙著、『目からウロコのなるほど地理講義』(学研プラス)より抜粋)。 プレートテクトニクスと呼ばれる、この考え方は1960年代にツゾー・ウィルソンという人によってまとめ上げられたものです。1964年から1973年にかけて9年もの歳月をかけて仕上げられた『日本沈没』は、当時の「最新の学説」を利用して書かれたことが分かります。 「原作」における日本沈没のメカニズムは「マントル対流のパターン変化」と説明しています。日本海が拡大する力が現在でも続いている(つまり日本列島は東へ移動する)が、太平洋プレートが西へ動いているため、両側から働く力で均衡が取れている。しかし、この均衡が失われて日本列島は沈むとされています。 「2006年の映画版」による日本沈没のメカニズムは、「メガリスの存在」と説明しています。これは沈み込んだプレートがマントル上部とマントル下部の境界に溜まったものを指しています。このメガリスが沈み込むさいに、日本列島も一緒に沈んでしまうというものです。 どちらにせよ、こういった現象が1、2年の単位で発生することは考えにくいわけです。映画の内容に対して「マジレス」するの大人気ないとは思いますが、この映画の本質はそこではありません。 2.国土だけでなく、心まで失ってしまうのか!? 2006年の映画版は、別にテーマが隠されているような気がしています。それは「日本人は、なぜ日本人なのか?」ということです。「2006年の映画版」は、「国土だけでなく、心まで失ってしまうのか!?」がサブタイトルについていました。 われわれ日本人は「なぜ日本人なのか?」。日本国籍を有するからなのか、それとも日本語を話すからなのか、はたまた同じ価値観を共有するからなのか、様々な要因があります。国土を失って、世界各地にバラバラになっていった日本人が、その後も「日本人としてのアイデンティティーを保って生きていけるのか?」と考えてみると、ほぼ不可能なのではないかと思います。 共通のアイデンティティーを持つことの難しさ。歴史上、民族が滅ぶということは、文化が消滅したことでもあります。しかし、例えばユダヤ人はローマ帝国に滅ぼされても、千何百年にも渡って祖国や故地を忘れることなく、「いつかはシオンの丘に復帰すること」を夢見ていました。この考え方によって「シオン(Zion)+イズム(Ism)」から、「シオニズム(Zionism)」という言葉が生まれました。 ユダヤ人は苦難の連続でした。しかし、この苦難は「神が与えた試練である」とポジティブに捉え、それは「ユダヤ人が神から選ばれた民族であるから」と認識します。もはや気を紛らわしているとしか思えませんが、彼らにとっては大事な思想です。つまり「選民思想」という考え方です。ちなみに、機動戦士ガンダムの「ジオン(Zeon)」は、これが元ネタです。

▲ジオン公国のシンボルマーク 日本人は悪く言えば「節操がない」、良く言えば「良い物を取り入れて、順応性が高い」といえます。ですので、日本人は外国へ移住したとしても、その土地の風習に馴染んで、生きていくのかもしれません。 そういう意味では、民族とは言語や宗教、国籍などの客観的な区分もさることながら、「俺は日本人だ!」という主観的な区分もできるといえます。 『日本沈没』という映画を改めて見ると、実は日本人が日本人である理由として、「自分のことを日本人と思っている」という感情が非常に強いのだろうなと思う次第でした。 そんな『日本沈没』ですが、今年10月よりTBSにてテレビドラマ化されることが決定しています。主演は小栗旬、彼が分する役はオリジナルキャラクター、環境省の官僚です。これまでの映画版やテレビドラマ版は地球物理学者や深海潜水艇の操縦士が主導となって物語が進んでいましたが、今回は環境省の官僚が主人公となっていますので、どんな展開になるのか、そして日本沈没のメカニズムがいったいどんな理論で語られるのか、今から楽しみです。 (終わり) //////////////////////////////////////////////////////////////// ②ブロックチェーンは地理から学べ! #2 アルミニウムとビットコイン④(全4回) ※今回は、前号(第6号)の「#2 アルミニウムとビットコイン③」の続きです。 マイナーは、報酬がそれに必要なコストを上回ると期待されるとき、マイニングする動機を持ちます。したがって、ビットコインの市場価格は、マイナーがマイニングするかを決めるにあたってとても重要な指標です。 コストも重要です。マイニングには大きなコストがかかるため、会社が資金を集め、事業としてマイニングすることがしばしば行われます。個人だと、基本的には複数の人々が協力してマイニングする「プールマイニング」という方法でマイニングします。またビットコインマイニングではPoWによりたくさんの電力を必要とするため、電気代も膨大にかかります。つまり電気代が安い国では、それなりに優位性を持つわけです。たとえば、水力発電と地熱発電でほとんどの電気をまかなっているアイスランドのような国です。 さて、ようやくですが、ここで冒頭の話題に戻りましょう。実は、この「電気代」というキーワードが、アルミニウムとビットコインを地理の話題として結びつけます。 アルミニウムの場合にも、その精錬に莫大な電力が必要となり、電気代は大きなコストとなります。アルミニウムの精錬コストはおよそ80%が電気代です。このことから、アルミニウム精錬工場やビットコインのマイニング施設は、電気代が安い地域に建設される傾向にあります。 もちろん電気を使えば熱を持つわけで、これを冷やすためにもまた電気が必要です。しかし、コンピューターを冷やすコストがより小さくなるため、「寒さ」が強味になるようです。寒冷な国は地の利を持つということですね。 では、「マイニングが多い国ほど電気代が安いのか?」と言われると、因果関係が成り立つほどではないように思えます。 ▼Bitcoin Mining Map https://cbeci.org/mining_map ▼Electricity prices https://www.globalpetrolprices.com/electricity_prices/ 平均電気代に基づいてマイニングコストを出した情報を見ましたが、「安いところTOP3では……」、みたいな言い方は少なくともできそうにありません。 ▼Bitcoin Mining Cost Lowest In Venezuela, Highest In South Korea,ReportFinds https://www.ibtimes.com/bitcoin-mining-cost-lowest-venezuela-highest-south-korea-report-finds-2646191 アルミニウム生産量という観点だと、世界最大の中国がマイニング世界最大となっています。中国だけでなく、ロシア、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジルといった国土面積の広い国では、降水総量(降水量×国土面積)が大きくなるため、包蔵水力(経済的に利用可能な水の量)が豊富です。そのため水力発電が盛んに行われ、国全体に占める水力発電量割合は小さいものの、水力発電量が世界的に多くなっています。そのため、水力発電で得られた安価な電力を使ってアルミニウム工業が発達しており、結局、アルミニウム生産量の上位国は国土面積が大きい国で占められています。

▲アルミニウムの生産量 国土面積が小さくてもアルミニウム生産が盛んな国があります。たとえばアイスランドです。同国は、電気代が安くアルミニウムの生産が盛んです。風力発電も含めて、アイスランドは再生可能エネルギー(自然エネルギー)への依存度が100%であり、安価な電力を売ることができるので、アルミニウム工業が発達しています。アルミニウム工業はアルミナを電気分解して製造されるので、大量の電気を必要とします。コストの実に80%ほどが電気代です。そのため、安価な電力が得られるアイスランドなどで発達しやすいわけです。 同様に、アイスランドではビットコインマイニングも盛んな国として知られており、2018年の時点でビットコインマイニングの電力量が家庭の消費量を上回るだろうとされていました。そもそも、アイスランドの人口は35万人程度なので家庭の電力消費量はそれほど多くはありません。しかし、ビットコインマイニングの利用者も多くないはずなので、いかにビットコインマイニングが多くの電力を使用するかが分かります。 ▼アイスランド、ビットコイン・マイニングの電力量が家庭の消費量を上回る https://www.businessinsider.jp/post-162078 アメリカ合衆国ケンタッキー州では、国内の他の州よりも安価な電力が得られることを背景に、これがマイニングに有利であることを利用し、企業を呼び込もうという法案が提出されたりもしています。アメリカ合衆国の中で電気料金が安価な州は、「水力発電が盛ん」、「安価な国内炭を利用した石炭火力発電割合が大きい」などの要因があります。ケンタッキー州は、東側にアパラチア山脈をひかえ、付近では炭田が多く石炭産出量が多い州です。 ▼Most Expensive and Cheapest Electricity by State https://www.thebalancesmb.com/most-expensive-and-cheapest-electricity-by-state-4177753 ▼「米国に仮想通貨マイナーを」 招致目的で免税措置、米ケンタッキー州議員が法案提出 https://coinpost.jp/?p=212325 アルミニウムとビットコインマイニングの関係として、さらに露骨なものもあります。ロシア・ブラーツクや米国テキサス州の例では、アルミニウム精錬工場跡地にビットコインのマイニング施設が建設されています。 ▼シベリアの廃墟がビットコインマイニングの整地に?https://www.coindeskjapan.com/19095/ ▼なぜビットメインは世界最大のマイニング施設をテキサスの片田舎に作ったのか? https://www.coindeskjapan.com/25206/ この両地域も、電気代の安さ(電力の豊富さ)から、元々この場所にアルミニウム精錬工場がありました。 このように、アルミニウムとビットコインには、どちらも大量の電気が必要で、電気代が安い地域に施設が建設されるという共通点があるのです。 一方で、アイスランドでは莫大な電力消費が環境破壊を引き起こすのではないかという懸念が頭をもたげています。 ▼アイスランドでの仮想通貨マイニング、募る環境破壊への懸念 https://coinpost.jp/?p=79954 実は、比較的電気代の高そうな米国ニューヨーク州でも「アルミニウム精錬工場跡にビットコインマイニング施設を!」という計画があるようです。ただし、そもそもなぜここにアルミの工場が、というのがいまいちわからないのもあって、現状では事例として取り上げていません。 ▼仮想通貨事業、5大マイニングファーム地域からみるその発展 https://jp.cointelegraph.com/news/top-five-biggest-crypto-mining-areas-which-farms-are-pushing-forward-the-new-gold-rush このように、各地で「地の利」を活かしたビットコインがみられるところが非常に面白いですね。 参考文献 ・『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』加嵜長門、篠原航著  https://www.amazon.co.jp/dp/4839965137 ・誰にでも理解できる:Blockchain技術 ③ - ブロックの中身  https://alis.to/JimiVD/articles/KmQYmJzyolO5 ・世界の電気料金(家庭用) 国別ランキング・推移  https://www.globalnote.jp/post-12842.html ・世界の電気料金(産業用) 国別ランキング・推移  https://www.globalnote.jp/post-12844.html ・COMPARISON OF THE ELECTRICITY PRICES WORLDWIDE  https://elitemininginc.com/2019/03/comparison-of-the-electricity-prices-worldwide ・Electricity pricing  https://en.wikipedia.org/wiki/Electricity_pricing ・Electricity price statistics(EU域内電気代:家庭用)  https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Electricity_price_statistics#Electricity_prices_for_household_consumers (終わり) //////////////////////////////////////////////////////////////// ③みやじまん調べ! 今週の気になるニュースを解説!  ~キューバ、資本主義への扉をさらに開く長年の停滞越え~ 2月6日、キューバにて「民間部門の大幅な拡大」が発表されました。 キューバは1959年のキューバ革命以来、社会主義を掲げる国です。そのため資本主義経済は導入されていないわけで、民間部門での就業は公的に認められた127の部門に限られていました。 わたくしは2018年3月にキューバに行きました。目的は、「資本主義経済が導入される前のキューバを見ておきたい」という理由でした。資本主義は貧富の差を生むことは間違いありません。それが犯罪を生み出します。貧困と犯罪は驚くほど相関関係があります。しかし、キューバは基本的に国民全員の生活水準が同じなので、あまり貧富の差がみられないのか、現地での肌感覚としてはいたって治安が良かった印象があります。 しかし、時代が変われば仕事の種類が変わっていきます。新しくイノベーションを興すためにも、これまでと同じルールでは衰退を招くと思ったのか、今後は2000を越える仕事での就業が認められるようになるそうです。 キューバは、革命によって社会主義国となったため、かつてはソビエト連邦が最大の貿易相手国でした。そのためソビエト崩壊にともなって経済は壊滅状態にまで追い詰められました。アメリカ合衆国とは国交断絶状態であったため、キューバ革命以前に輸入されていたアメリカ車がいまでもキューバの街を走っています。壊れては直し、壊れては直し、大事に使っています。

▲キューバのクラシックカーと著者 しかし、「キューバでクラシックカーが見られる!」と心躍りますが、実際に現地に行ってみると、クラシックカー、つまり燃費の悪い車が走っているわけであり、大気汚染とまではいかないにせよ、とてもじゃありませんが空気が綺麗とは言えませんでした。もちろん、熱帯の国であるにもかかわらず、空は少し白んでいるような、お世辞にも青々とした空とはいえるものではありませんでした。 2015年、アメリカ合衆国とキューバは電撃的に国交を回復しました。記憶に残っていると思いますが、2013年、アメリカ合衆国はイランと電話にて首脳会談を行いました。1979年のイラン革命(イスラム革命)によって国交を断絶して以来、実に34年ぶりのことです。 時の米国大統領はバラク・オバマでした。個人的には、インテリの弱さがことごとく露呈した大統領という印象しかなく、最近の米国大統領の中でもかなりレベルの低い大統領だったと思います。上院と下院で与党が異なり、議会での「ねじれ」が起きており、もはや国内法がほとんど通らない状況でした。当時のオバマにできることといえば、外交問題の善処しかなかったと思えます。 考えられるのは、イラン、キューバ、北朝鮮などとの関係改善しかもはややることがなくなっていました。そういった中での、キューバとの国交回復でした。 キューバの首都ハバナにある、ホセ・マルティ国際空港は、国際空港とはいえども、非常に小さい空港です。そこに、デルタ航空のブースがあったことを記憶しています。「なるほど、少しずつアメリカ資本がキューバに入ってくるんだな」と思いました。

▲デルタ航空のブース しかし、2017年より米国大統領になったドナルド・トランプによって経済制裁が科され、アメリカとキューバとの関係は悪化の一途をたどりました。キューバ旅行中に街を案内してくれたタクシーの運転手が、トランプに対しこれでもかとばかりに罵詈雑言を並べていました。聞いていて、気持ちが良くなるくらいでした。 キューバには通貨が2つあります。キューバ人が国内で利用する通貨と外国人が利用する通貨です。価値に表すと、だいたい20:1となっていて、われわれのような外国人はキューバ人が払う20倍の値段を請求されます。簡単にいうと、外国人からぼったくっているということです。しかし、それでもピザが300円とかなので、基本的には激安です。キューバ人はピザを15円で食べているわけです。今回の改革では、こうした二重通貨も統一されることとなるそうです。

▲キューバの通貨 少しずつ、キューバが変わろうとしています。 (終わり) //////////////////////////////////////////////////////////////// 本ウェブマガジンに対するご意見、ご感想は、このメールアドレス宛に返信をお願いいたします。 //////////////////////////////////////////////////////////////// 配信記事は、マイページから閲覧、再送することができます。ご活用ください。 マイページ:https://foomii.com/mypage/ //////////////////////////////////////////////////////////////// ■ ウェブマガジンの購読や課金に関するお問い合わせはこちら   info@foomii.com ■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/ ////////////////////////////////////////////////////////////////

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