Foomii(フーミー)

蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

「結核病棟のある病院へ行きなさい」という産業医の指示に愕然

本稿でも、恐縮ながら医療・介護関係を話題にしたい。がその前に11月21日、花角英世新潟県知事が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働容認との判断を表明したので、それについて少し触れる。


●説得力に欠ける判断理由 詭弁だらけ

まず、新潟県が行った県民意識調査によれば「再稼働の条件は整っていない」としたのが約6割、「東電が原発を運転することが心配だ」とした人は約7割に上った。こういう状況下で再稼働を容認した理由の一つとして「国や東京電力の安全対策などを理解してもらう作業が進めば、この状況は変わる」とした。平たく言えば「原発を良く知らない人が再稼働の条件が整っていないと考えている」ということだ。これは、県民を小馬鹿にした発言であり、十分に理解した上で再稼働は不可という人も多いことを忘れてはならない。そんな単純な話ではない。


次に東電に関して「東電の信頼性は現状でも回復していない」としながら、実効性のある活動と周知に取り組んでほしいとする。そんな簡単に、企業文化・体質が変わるのであれば、誰も問題にしない。テロ対策の不備がこれだけ連続して発生すれば、信頼性が低下するのは当然である。つい最近もテロ対策用秘密文書が勝手に持ち出され、コピーされるという不祥事が発生したばかりだ。この事案は不問に付すつもりなのだろうか。


●県議会で「信を問う」?

花角知事は、再稼働容認という判断について、県議会で「信」を問うとした。これもおかしな話で、二元代表制の地方自治体で信を問うのは、県民に対してであり県議会ではない。本来、花角知事の初当選時の公約は、「職を賭してでも県民の信を問う覚悟」だったはずで明らかな公約違反である。やはり知事判断の是非は県民全体で議論されるべき問題だ。


●7項目も国に求める

また、避難道路や屋内退避施設の集中的な整備など7項目を国に求めた上で容認する。とのことだが、裏を返せば未だ7項目もの不完全な要件があるという意味で、再稼働容認の判断は時期尚早と言える。その避難道路の整備には国が全力を挙げて行うとされている。


旧稿で何度も触れた通り、我が家が面する国道8号のバイパス工事は、始まる気配がない。避難時の主要幹線道路である国道8号の渋滞は慢性的に発生しており、複合災害でなくとも事故時の避難は不可能である。もし、この約1キロメートルの区間の道路拡幅バイパス工事が遅れれば、これがボトルネックとなり新たな渋滞の原因となる。こういった現状を花角知事は見て見ぬふりなのか。少なくとも、柏崎市長は把握しているはずだ。避難道路等の整備をしながら、再稼働を行うなどあり得ないことだ。これこそ「泥縄方式」である。


●昔ながらの札びら攻勢

花角知事も東京電力の昔ながらの「札びらで頬を叩く」手法に毒されたのだろうか。すなわち、東京電力が新潟県に対し1000億円の支援を行うという件である。ところで、東京電力はその大金をどうやって捻出するのか。再稼働による収益からか。それならば、莫大な額に積み上がっている借金の返済に充てるべきではないか。それほどの余裕はないはずである。


●福島県民を愚弄した「視察」

最後に、気に入らないのが判断の直前、花角知事が初めて福島第一原発と浜通り地区を視察したことだ。遅々として進まない廃炉工事の現場や、未だ避難が解除されない地域を目の当たりにしたならば、再稼働の容認はできないと考えて当たり前だ。容認と判断したのだから、視察は単なるアリバイ作りのパフォーマンスであり、これほど福島県民を愚弄する行動はないと言えよう。


花角知事のお仲間が大勢を占める、県議会が12月定例会で結論を出すようなら拙速で茶番劇であると言わざるを得ない。民主主義のプロセスをきちんと経ない結論など無効である。可能性は低いが県民投票の実施を願うばかりである。


●産業医からの呼び出し

ここからようやく本題に入る。東京電力で勤務していたころの話である。医務室の看護師から電話があり、産業医のところまで来て欲しいとのことだった。定期健診が終わった直後だったため、「何かあったのか」と不安を抱きながら産業医を訪ねた。


産業医は、「蓮池さんの胸部レントゲンに異常があるので、結核病棟がある病院へ行ってください。紹介状は書きます」と単刀直入に言った。「結核」という言葉が引っかかった。というのは父が若い頃2度も結核で入院生活を送ったからだ。「結核という根拠はあるのですか」と尋ねると「いざという時にも対処可能にするためです」との返事だった。

… … …(記事全文4,276文字)
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