… … …(記事全文2,567文字)●「避難計画の不備は人命軽視である」
私は、従来から原発事故時の避難は不可能、すなわちいかなる避難計画にも実効性はないと訴えて来た。それが、自然災害との複合的な事故ともなれば、言わずもがなである。我が家から約3キロメートル離れたところに柏崎刈羽原発があり、決して他人事にはできない問題である。2018年に出版した拙著「告発」(ビジネス社)では、「避難計画の不備は人命軽視である」として、こんな記述をした。
「わが故郷柏崎市についてはどうか。私の両親は、柏崎刈羽原発の事故に不安を抱いており、特に母は『いざという時に、どうやってどこへ逃げたらいいのかい』と私に問うてきた。『東京電力に訊いてみたら』と助言すると、『原発に電話したけど、<すみません>と <頑張ります>しか言わなかった』と、東京電力の『我関せず』の姿勢を嘆いた。『それでは市役所に尋ねたら』と私が応えるや否や、母は市役所の防災・原子力課へ電話した。『まだ決まっていません。いま鋭意検討中です』。市役所の回答に母はがっかりしていた」
「その後、『市役所によると近所の日吉小学校に避難だ』『あそことうちでは変わりない』と母は、伝えてきた。これは、母の勘違いで、バスで集団避難するときの集合場所が最寄りの日吉小学校、避難先は県内妙高市杉ノ原スキー場、避難経路は高速道路経由だった。ただし、自家用車利用が基本である。それにしても90歳に届こうとする両親が、自家用車で通常2時間程度かかる妙高市へ避難するのは至難の業だ」
「そして、主要道路である国道8号線は、慢性的に渋滞している。渋滞解消のため30年近く前に開始されたバイパス工事は、実家の前の道路約1キロメートルのみが手付かずで、未だに完成には至っていない。このバイパス工事に関しては、毎年父が柏崎市長へ早期の促進を要請する手紙をしたためているが、いつも『国へ強く要請する』との決まり文句の回答があるのみである。さらに両親は、国道8号線を所管する国土交通省北陸地方整備局へも出向き、同様の要請をしているものの、予算の問題云々と歯切れの悪い回答がなされるのみであるという。この対応に、父は『これでは、原発再稼働どころではない』と常に立腹しているのである」
