… … …(記事全文3,143文字)題記は、今回の東京電力の失態を受けて地元の市民団体のリーダーが語った言葉である。全くそのとおりであり、何度も何度も失態を繰り返す東京電力の実態を見事に表現している。
●7号機特重施設設置期限に間に合わず
東京電力は、柏崎刈羽原発7号機の「特定重大事故等対処設備」(特重施設)について、今年3月完成を目標に工事を進めていた。しかし、ここに来て、工事は大幅に遅延し目標達成は困難であり、規制上の設置期限である今年10月までの完成を断念したという。
特重施設には、故意に航空機を衝突させるテロ行為があった場合でも遠隔操作により、原子炉への注水や冷却を可能にする設備などが設置される。だが、テロ対策設備というコンセプトだけは明かされているものの、具体的な設置場所、システム・機器の詳細、誰が操作するのかなどは、テロ対策を理由に公表されず、いわば秘密のベールに包まれている。
この特重施設は、原子力規制委員会の新規制基準で設置が義務付けられている。しかし、例外的に原発本体の工事計画認可を得てから5年間は特重施設が完成していなくとも、再稼働が認められる優遇措置がある。7号機の工事計画認可は2020年10月14日であることから、特重施設の設置期限は今年10月13日である。新たな特重施設の完成時期は、2029年の半ばになるといい、最低でも4年以上は運転できなくなる。