… … …(記事全文3,209文字)●エネルギー基本計画から消えた文言
経済産業省は17日の有識者会議で、中長期的エネルギー政策指針「エネルギー基本計画(第7次)」の原案を示した。この中で、2011年の東京電力福島第一原発事故以降明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言が削除された。また、同じ原発の敷地内に限って認められていた建て替え要件も緩和された。つまり、同じ電力会社であれば敷地外の別の原発敷地でも次世代型革新炉を建設できるということだ。2040年度の発電量全体に占める割合は、原発が20%程度、再生可能エネルギーは40~50%と最大電源に位置付けた。しかし、現行計画にある「最優先で取り組む」との表現は撤回された。
●2040年全原発再稼働
2023年度の原発発電量の割合は8.5%であることから、2040年に20%程度を確保するためには、既存の原発のほとんどである30基程度をすべて再稼働させなければならないことになる。その理由は「優れた安定供給性と技術自給率を有し、他電源と遜色ないコスト水準で、変動も少ない」からだそうである。「遜色ないコスト」とは本当なのか。廃炉、再処理、高レベル放射性廃棄物処分はもとより事故時の損害賠償などは考慮しているのだろうか。
●ゾンビのように蘇らせたい
資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は「再エネや原子力の二項対立を超え、ともに最大限活用することが重要だ」と述べたという。また、経産省は「福島事故の前は原発の割合が30%だったことから、依存度の低減といった従来方針に変更はない」と説明しているとのことだ。よくもまあこれだけの詭弁を並べられたものだ。もはや、この国で「ガラパゴス化」している原発をゾンビのように蘇らせたいと強く望んでいるだけのことである。