… … …(記事全文4,277文字)●共同通信社が全国都道府県知事、市区長村長にアンケート
人口減少対策と東京一極集中の是正を目的とする地方創生について、全国の都道府県知事、市区町村長に対して共同通信社が行ったアンケート結果で、自治体の68%がこの10年間の取り組み成果が不十分だったという報道があった。
地方創生は安倍政権が2014年から本格化させ、自治体ごとに戦略を策定し、移住者受け入れや子育て環境の整備を進め、国は交付金で支援してきた。しかし、それが功を奏することはなかったことを、このアンケートは物語っている。
この68%という数字に対して、特に驚きはない。地方在住者の一人として目に見えた創生を感じることはなく、衰退の一途を辿っているように思えるからだ。むしろ。30%近くの自治体が成果は十分だと回答していることが不思議である。
●頻発する首長の問題発言等
良好事例として兵庫県明石市や千葉県流山市の名前が挙げられる。おそらくその自治体では、創造性あるアイデア策定と首長の決断力がモノを言っていると推測する。しかし、前明石市長は「やろうと思えば誰でもできること。ただやる気がないだけ」という主旨のことも語っている。
最近の首長と言えば、パワハラ・内部通報者(公益通報者)処分をした兵庫県知事が大きな話題になっている。また、台風10号接近の際に浜松市長は「台風が近づくとなぜか高揚する。高揚感が会場に満ちあふれている」と発言し、佐賀県基山町長は「勝手な希望を言えば、阿蘇山に台風の力をそいでもらって、台風が東へ抜けてもらうということです」と自身のFBに投稿した。どうしてこういう問題発言が飛び出してくるのか、タガが外れているでは済まされない。
地元も例外ではない。上越市長が、企業誘致を巡る市議会での答弁で「工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている。企業誘致で頭のいい人だけが来るわけではない」と発言した。この学歴差別と取られる問題を巡り、市長に対する不信任決議案が市議会に提出された。しかし、採決の結果、賛成11票、反対21票で、否決された。もう話にならない。全国的に首長の問題発言等が頻発している。こういった人たちの頭の中には地方創生などという言葉は存在しないのだろう。
●地方創生68%「成果不十分」の理由
当該のアンケートは、47都道府県知事と1741市区町村町に対して行われ、1667人から回答があった。回答率は93%だった。
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)