Foomii(フーミー)

蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

東京都知事選で絶対に選んではいけない人を見極める

●都知事選告示

東京都知事選が告示された。立候補者数は過去最高の56人に上った。一定の条件を満たし供託金300万円を準備できさえすれば立候補するのは自由である。しかし、さすがにこの人数は多すぎるのではないだろうか。それぞれの候補者が志を持って、選挙に臨むことは否定しないし、供託金没収覚悟で自身の政策を訴える候補者もいるだろう。あとは、売名行為や選挙マニアなどがいないことを願うだけである。


●告示前共同記者会見

告示に先立ち、19日、日本記者クラブで立候補を予定する4人の共同記者会見が行われた。参加者は、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、参院議員の蓮舫氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏、現職の小池百合子氏で、少子化対策や若者支援、政治改革のあり方について論戦を交わした。なぜこの4人なのかは、日本記者クラブの人選だと想像するが、実質は蓮舫氏と小池氏の一騎打ちをいうのが大方の認識であろう。


●一極集中問題

私が特に注目したのは、一つ目に東京への一極集中問題である。東京都の合計特殊出生率が0.99と1を割った理由には、一極集中という側面もあるからだ。東京都民からは、「豊かな東京、住みやすい東京を目指そうとしているのに人口を分散させるというのか」とお叱りを受けるかも知れない。


しかし、今や東京都の人口は飽和状態を超えている。住宅コストの高騰、過密化と交通渋滞、災害リスクの集中、地方の衰退などの弊害がある。地方在住の私にとって、地方の衰退すなわち人口、とりわけ若者の東京への流出が最も気になるところである。先々のことを考えれば、地方分散は必要不可欠である。地方との交流あってこその東京であることを忘れてはならないだろう。少子化の将来を見据えれば、東京だけ栄えても地方が寂れてしまったなら、共倒れになってしまうのは目に見えている。


この点について、石丸氏は地方首長経験者らしく「都市への集中が未婚化の大きな背景であり、そこへの取り組みが欠かせない」と指摘した。一方で、小池氏は「一極集中だけを問題にしているとパイを切り刻むだけ。国力を失う」と反論した。蓮舫氏も「都知事として東京のことを最優先で考えるのはミッションだ」とした。


東京都知事選挙だから東京のことを最優先で考えるという意見も理解はできる。だが、東京は日本の首都である。政治、行政、企業等が一手に国を司る中枢都市であるのも事実である。この機能が失われた場合、この国は正常ではいられない。その観点から都知事も考えるべき重要な問題の一つではないだろうか。小池氏の「国力を失う」という発言は一極集中を助長するものであり理解し難い。


●原発問題

二つ目は原発問題である。当地にある柏崎刈羽原発の電力はほとんどが東京に供給されてきたと言っても過言ではない。つまり、核のリスクを背負いながら、東京の電力確保に協力してきたのである。これを、地域の首長たちは「国策に貢献してきた」と胸を張る。「あなたがたはその代わりに交付金や固定資産税などの恩恵を受けてきたではないか」と反論されるかも知れない。しかし、福島第一原発事故で核のリスクが顕在化した現在、柏崎刈羽原発の再稼働についてどのように考えているのか聞きたかった。


小池氏は、「安全性の確保についてさまざまな手続きを踏まえて進んでいると承知している」と語った。蓮舫氏は「イエスノーで答えられるような両極な問題ではない。国の政策と都の政策は当然影響し合うものだ」と述べた。二人とも、明言を避けたというよりも、お茶を濁した。これでは、地元の自民党地方議員がよく使うフレーズ、「再稼働の是非は判断できない」となんら変わりないではないか。東京と密接な関係にある柏崎刈羽原発の再稼働につて明確なビジョンを示すべきだ。今夏の東京の電力需給は安定しているのか。選挙後には、「逼迫」と必ず東京電力は言い出すだろう。東京へ電力を送ろうとしている柏崎刈羽原発の再稼働に毎日反対している市民にも思いを馳せてもらいたいものだ。


石丸氏は「現状イエス。日本の科学者、技術者を信じる」。田母神氏は「原発が危ないというのは日本に仕掛けられている情報戦だ」。両者とも論外であり、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を都知事選での争点にすべきと私は考えている。


●私の知る小池百合子という人

⇒「私のバッグが拉致されたかと」

小泉純一郎首相が訪朝した、2002年9月17日、日朝首脳会談により拉致被害者の生死に関する情報が北朝鮮側から伝えられた。私たち家族会は、外務省・飯倉公館において、福田康夫官房から生死の「宣告」を受けた。飯倉公館に同行したのは、超党派で組織する「拉致議連」の中で自民党の石破茂会長、米田健三副会長、平沢勝栄事務局長の3人だけだった。

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