… … …(記事全文4,438文字)●CGTNの取材
本年1月、福島第一原発からの汚染水投棄に関して、CGTN((China Global Television Network:中国国際電視台)にインタビュー取材を受けたことは旧稿で述べた。
「CGTN(中国国際電視台)取材の意図は」(2024年1月26日配信)
https://foomii.com/00200/20240126055000119581
この時は取材の意図がはっきりしていなかった。そのため、外交筋の話として次のとおり書いた。
「昨年11月の日中首脳会談において、処理水問題について日中双方で話し合うという方向性が定まっている。いよいよ、中国から専門家が派遣され、独自にモニタリングが行われることにより、中国の日本産水産物の禁輸措置が解除されるのも間近かもしれない」
したがって、今回の取材は中国政府の「方針転換」の地ならしとしてのプロパガンダを目的とした番組作りではないかという憶測をした。実際、中国から専門家が派遣されたのは事実だったが、中国が賠償請求案を提示してきたことから、この話は暗礁に乗り上げてしまったようだ。
時間が過ぎ、番組制作自体がお蔵入りになったのかと忘れかけていたのだが、3カ月近く経った4月17日ドキュメンタリー番組が完成しインターネット公開したという連絡がCGTNから入って来た。
●CGTN documentary : Unfogging Fukushima
番組はドキュメンタリー「福島の真実(曇りのない)」(筆者訳)という意味深なタイトルだった1時間番組ですべて日本国内でのインタビューで構成されている。早速視聴してみると、コンテンツは遠慮や忖度など何もなく私の想像をはるかに超えていた。そこには、中国の政治的思惑は存在していなかったのである。
前編、後編の2部構成の番組は、「Their traumas , unrelieved(トラウマは癒やされていない)という衝撃的なナレーションから始まる。本稿ではその概要を紹介したい。なお、全編はインターネット上で誰でも無料で視聴可能である。
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)