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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

年度は変わったが私の愁訴は続く

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022040106000092822 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 今週、突然こんなメールがきた。 **************************************** 【重要】電力供給事業停止のお知らせ  平素はエルピオでんきをご利用いただき誠にありがとうございます。 2020年12月以降、天然ガスなど発電燃料不足による電力卸売市場の慢性的に高値が続き更にロシア軍のウクライナ侵攻が勃発し、ヨーロッパの天然ガス市場の大暴騰を受けて日本の電力先物、電力卸売市場、天然ガスを発電燃料とする発電所からの買取価格が、昨年より一段と高値をつけてしまいました。その後も電力卸売市場が昨年比の2倍~5倍の値段をつけていることから『格安でんき』の料金を維持していくことが困難となりました。このままでは1.5倍から2倍近い大幅値上げをしなければならない状況となり、他の電力会社様の方が圧倒的に安くなることから令和4年4月30日をもって、『エルピオでんき』の全エリア、全メニュー供給を停止致します。  お客様にはお手数をおかけしまして誠に恐縮でございますが、エルピオでんきはエネワンでんきの代理店となり、お客様におかれましては、株式会社サイサン(エネワンでんき)に下記より速やかに切替手続きをしていただきたく、お願い申し上げます。 ****************************************  「エルピオでんき」。私が東京からUターンしてすぐに東北電力からスイッチングしたいわゆる新電力である。千葉県市川市に本社を置く株式会社エルピオがLPガスの供給および各種ガス機器の販売、都市ガス供給および各種ガス機器の販売とともに電力小売事業にも参入した経緯がある。メールにもあるとおり「格安でんき」が売りで、スイッチングした後は、電力使用量が多い冬場は、月額で5千円以上東北電力よりも安く、年間を通じて相当額の電気料金節約で家計に貢献してきた。  昨年の1月、東京電力管内で供給が逼迫し、電力卸売価格が急騰したときも、「エルピオでんき」は、何とか安値を保っていた。しかし、昨年末からの天然ガス価格の暴騰にロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけ、ついに「安値」を維持できなくなり、潔く撤退を余儀なくされた形だ。よく我慢してきたと言っていいだろう。  報道によれば、2021年度(2021年4月~22年3月)に新電力の倒産が14件発生したという。年度を通じて倒産が2桁に達したのは初で、前年度の2件から急増、過去最多を大幅に更新した。また、電力小売事業からの撤退や新規申し込み停止も相次いでおり、2021年4月に営業していた新電力約700社のうち、約4%に当たる31社が過去1年間で倒産や廃業、事業撤退などに追い込まれたといことだ。約700社の新電力のなかには、一時的な儲け主義の悪徳な会社もないことはない。  しかし、こういった状況で分かるのは、自前の発電設備を有していない会社は不利であるということだ。卸売市場からの調達価格が高騰すれば、薄利多売もままならなくなり、安値で区別化を図ってきた新電力の居場所はなくなってしまう。つまり、従来の電力会社が、電気料金は上がるが安定な供給が可能、と圧倒的に有利であるのは明らかだ。  私は、女川原発を再稼働する東北電力を忌避したのと、少しでも安ければとスイッチングした。しかし、鳴り物入りで開始された「電力自由化」であるが、現状が本来の姿なのであろうか。大企業がバックにある新電力は別として、中小でも再生可能エネルギーを主として供給する新電力もある。まだまだ、従来の電力会社が主体となっている自由化市場は、抜本的に改革していく必要があるのでは、と考える。 ●ロシアのウクライナ侵攻の報道に違和感  連日、ロシアのウクライナ侵攻の報道が続き、もう1カ月以上になる。特にテレビでは、BBCやCNNといった欧米メディアの映像、もしくはウクライナおよびロシアのソーシャルメディアにアップされた映像が流れている。ワイドショーでも、攻撃を受けたウクライナ市民の映像取り上げて非道な行いとロシアを非難している。  しかし、中にはロシア「苦戦」、ウクライナ「善戦」などという物言いをしている局もある。確かに語源は、戦(いくさ)に由来するのだろうが、現代では、リアルに人が死んでいる戦争で使用して欲しくない。スポーツ・ゲームのように感じてしまうからだ。遠く離れた地から戦場の様子を見て他国の「陣取り合戦」を楽しんでいるとさえ思えてくる。
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