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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

「異論の共存」戦略 ~分断を対話で乗り越える~

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2021121706000088658 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 ////////////////////////////////////////////////////////////////  標題は、松竹信幸氏の著書のタイトルである。同書の紹介にはこう書かれている。 「世界中で分断と排外主義がはびこるいま、必要なのは、異論を認めたうえで対話を重ねる態度!憲法9条を守りつつ、自衛隊の存在を肯定するという、自身の立場から、歴史認識、自衛隊の海外派遣、慰安婦問題、拉致問題、核の抑止力…など意見が対立する数々の難題に対して、保守・リベラル双方の対話の場を作ってきた自称『超左翼おじさん』の著者が説く、共存の作法」  10月30日、晶文社から出版されているので、興味のある方には是非読んでいただきたい。 〇松竹信幸氏とは 従来型の左翼を乗り越える  松竹氏は、1955年長崎県生まれのジャーナリスト・編集者。一橋大学在学中に19歳で日本共産党に入党、国会議員秘書を経て、1990年代半ばから党中央委員会の政策委員会外交・安全保障担当に抜擢された。2006年、諸事情により共産党を「退職」。京都のかもがわ出版に入社し、編集のみならず自らも多くの著書を出版するほか、講演、シンポジウム開催など積極的に活動。現在は同社をリタイアしたが、活動は継続している。  この略歴から、松竹氏はバリバリの左翼だと受け止められるかもしれない。しかし、長年の共産党での経験から、「右であれ左であれ、極端な人とは一線を画すけれども、ほとんどの人とは対話することが必要であり、仲良くしたいと思っている。さらには、その対話を通じて、ある程度の合意を形成することさえ可能だ」と考えるようになったという。  松竹氏のブログのタイトルは「超左翼おじさんの挑戦」。サブタイトルは「保守リベラルからリアリスト左翼まで中翼(仲良く)」である。「超左翼」というと、「極左」と誤解されそうだが、氏は「私は疑いもなく左翼に属している。ただし、『超』が冒頭にあるのは、従来型の『左翼』を乗り越えたいという願望」なのだと説明する。 〇憲法9条と自衛隊の共存  そういう立場で始めた最初の活動は、2007年「我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る」という本の企画、編集だった。自衛隊と憲法9条を共存させる方向性を提示するのは、護憲派を刺激し反発を買うようなセンシティブな問題で批判もあったが、反響は好意的で重版を重ねたとのことだ。  松竹氏は、さらに踏み込んで行く。特筆すべきは「自衛隊を活かす会」(正式名称「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」の結成であろう。呼びかけ人代表は柳澤協二氏(元防衛官僚トップ)、他の呼びかけ人として、伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授、元国連PKO武装解除部長)、加藤朗氏(桜美林大学教授、元防衛研究所)、事務局長松竹氏から構成される会である。目的は「左右」が一致できる防衛政策を打ち出すこと。 「『左右が一致できる防衛政策』といっても、世界中の悪をアメリカとともに打倒することが平和をもたらすという考えの人や、自衛隊そのものが平和の障害と考える人など、両翼のなかにともに存在する極端な考えの人には受け入れられないかもしれない。しかし、左右のほとんどが一致する防衛政策は可能だし、必要である」と松竹氏は説く。そして、 「元自衛隊幹部などを招いてすでに20回ほどのシンポジウムや研究会を開催し、日本防衛や国際秩序の構築のための政策についていくつかの『提言』も公表してきた」とする。  公表された提言は、次の三つである。 *「変貌する安全保障環境における『専守防衛』と自衛隊の役割」(「提言1」、2015年   5月18日) *「南スーダン自衛隊派遣を検証し、国際貢献の新しい選択肢を検討すべきだ」(「提言   2」、2017年4月17日) *「抑止に替わる安全保障に向けて」(「提言3」、2020年3月1日) なお、「自衛隊を活かす会」ホームページに全文が掲載されている。   http://kenpou-jieitai.jp   〇無謀なチャレンジをする理由 戦後史最大の分断を乗り越える
… … …(記事全文5,093文字)
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