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日本復活・明日への羅針盤

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

トランプは大丈夫か? カーク暗殺、MAGA分裂、イスラエル・ロビーと認知機能低下のリスクが日本にもたらす危機

チャーリー・カーク暗殺、キャンディス・オーエンズのMAGA離脱、マージョリー・テイラー・グリーンの辞任表明、そしてトランプ自身の対日発言――。これら一連の出来事は、アメリカ保守運動の中核であるMAGAが、イスラエル問題をめぐって深刻な内部分裂に直面していることを示しています。その背後には、巨額のイスラエル・ロビー資金と、老境に差しかかったトランプの判断力低下への懸念が濃く見えます。これは日本の安全保障にとって極めて危険な兆候であり、日本はいよいよ「アメリカ頼み」からの脱却を本格的に考え始めなければならない段階に入ったことを意味します。


チャーリー・カーク暗殺が照らし出した「右派の裂け目」

チャーリー・カークは、もともと典型的な「親イスラエル右派インフルエンサー」でした。若くしてトランプの寵児となり、TPUSAを通じて大学キャンパス保守運動を牽引し、アメリカ保守の若い世代に絶大な影響力を持っていたのは周知のとおりです。  


そのカークが暗殺されたのは、まさにガザ戦争とイスラエル・ロビーをめぐる亀裂がMAGAの内側で表面化し始めた矢先でした。重要なのは、彼自身が最初から反イスラエルだったわけではないという点です。長年にわたりイスラエルを擁護し、シオニズムに理解を示し、アメリカ右派の定番である「イスラエルは中東唯一の民主主義国家だ」というロジックを繰り返してきた人物でした。


ところが、ガザでの民間人犠牲が雪だるま式に膨れ上がり、「ジェノサイド」「アパルトヘイト」といった言葉が世界世論で当たり前に使われるようになるにつれて、カークの発言は徐々に変化していきます。公開の場や内部メッセージの一部では、  

「我々は“ライブ配信される戦争”を見せられている。これは本当にアメリカの利益になっているのか?」


と問いかけ、ガザで起きている事態をジェノサイドとみなす声に一定の理解を示すようになりました。また、暗殺の直前には、親イスラエル派の大口ドナーやAIPAC的なロビーの影響力に対し、公然と疑問を呈したとの証言も出ています。  


つまり、筋金入りの親イスラエル派だったカークが、ガザ戦争の現実を前にして、徐々に“目覚め”、ジェノサイド批判に近い立場へと歩み寄っていた。この軌跡そのものが、MAGAの内部分裂を象徴しているのです。


その矢先の暗殺である以上、「彼がイスラエル批判に舵を切ったから消されたのだ」という陰謀論的な解釈が右派の一部から出てくるのも無理からぬところです。事実関係の最終判断は慎重であるべきにしても、少なくとも“イスラエルに疑問を持ち始めた右派の若きスターが、異様なタイミングで舞台から消えた”という印象は、多くのMAGA支持層の心にイスラエルに対する深い不信を刻みました。


キャンディス・オーエンズ離脱とグリーン辞任  「親イスラエル vs 反干渉派」の決裂

カーク暗殺と並行して、MAGA陣営内部では別の大きな地殻変動が起きています。そのひとつが、超大物インフルエンサー、キャンディス・オーエンズの「MAGA離脱」に等しい宣言です。


オーエンズは、かつてはトランプ擁護の急先鋒として知られましたが、ガザ戦争をめぐるイスラエル批判を強め、ついには

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