… … …(記事全文3,421文字)2025年10月31日、高市早苗首相と習近平国家主席の初めての日中首脳会談が、韓国・慶州で開かれました。APEC首脳会議の会場になった「慶州ファベク(Hwabaek)国際コンベンションセンター」で、午後5時5分からおよそ30分、通訳を交えて行われたものです。
高市政権発足後、初の対面ということで注目されましたが、初対面ながら淡々と言うべきことは言った形で、合格点でしょう。両者は「建設的で安定的な関係を築く」「戦略的互恵関係を発展させる」といった抽象的な表現を交わし、具体的な合意や新しい提案はほとんど報じられていませんが、露骨に媚びていた石破前首相よりは遥かにまともでした。
ただ、私が密かに期待していたのは、高市首相が習近平氏に対し、長年にわたる極端な反日教育の中止を堂々と求めることでした。中国では今なお、小学校から大学までの教科書で「日本=侵略国家」「日本人=永遠の加害者」という刷り込みが続いています。2017年には抗日戦争の期間を「8年」から「14年」(1931~45年)に延長するよう全国の教科書を書き換えさせ、対日戦をより長く、より悲惨なものとして記憶させる方針が徹底されました。
さらに、習近平政権は2023年に「愛国主義教育法」を成立させ、9月3日の「抗日戦争勝利記念日」や12月13日の「南京大虐殺国家追悼日」を学校行事として反復させ、侵略の残虐さを強調する教材・映像の使用を義務づけました。2025年には日本への勝利80周年行事まで組み込み、北京の軍事パレードや各地の記念館展示で「日本軍国主義の再来を警戒せよ」と子どもに繰り返し教えています。
教室だけではありません。南京大虐殺記念館、盧溝橋(マルコポーロ橋)抗戦記念館、瀋陽の「九・一八歴史博物館」など全国にある“愛国主義教育基地”へ児童・生徒を団体で連れて行き、血のりや実物大の人形、遺体写真を前に「日本軍は中国人を30万人虐殺した」「731部隊は人間を生きたまま解剖した」といった説明を一方的に浴びせる。中には人気の抗日ドラマと連動させ、竹槍で日本兵を倒すような非現実的場面を見せて「日本人は卑怯で残酷」という固定観念を植え付けるものまであります。これは、もはや教育ではなく感情操作です。
外交問題を論じる以前に、この教育構造そのものが将来の対立の温床になっていることは明らかです。私が高市首相の立場だったら、

購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン