Foomii(フーミー)

日本復活・明日への羅針盤

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

高市首相はトランプの笑顔の裏に隠れたパラダイムシフトに対応できるか?

 トランプが見せる笑顔には、明確な政治的サインが込められています。石破茂氏に向けられた、あの素っ気ない態度とは打って変わって、安倍晋三氏の後継を自認する高市早苗首相に対しては、会う前から柔和な表情を崩さない。国民も、同じアメリカ大統領が相手によって態度をここまで変えるのかと、直感的に感じ取ったはずです。しかし、その笑顔は単なる好意の表示ではありません。そこには、戦後レジームの最終処理とも言うべき「パラダイムシフト」への招待状が隠れているのです。

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トランプ来日――横田ではなく、羽田へ。意味はどこにあるのか

 今回の来日で、トランプは横田基地ではなく羽田空港を選びました。日米安保条約と日米地位協定に従えば、アメリカ大統領は横田へ直接飛来できます。実際、そうすることが慣例化してきました。けれども、それは「日本は米軍の庇護下にある」という視覚的メッセージを世界に向けて発信する行為でもあります。羽田を選ぶという所作は、日本側への配慮であり、同時に「属国演出」からの距離の取り方を示唆しているように見えます。高市首相を正面から国家の代表として遇する――その象徴的な身振りとして、羽田到着は効果的だったと言えるでしょう。

 そもそもトランプは、高市氏が自民党総裁に就く前から来日を示唆しつつ、最終決定を意図的に保留していました。相手が石破氏ならば会わない、という意思が透けて見える微妙な駆け引きです。結果として、高市政権発足後の来日というタイミングは、彼の政治的メッセージを最大化しました。安倍路線の継承者なら話が通じる――そうした期待が笑顔の奥に浮かび上がります。

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「笑顔の裏」にある二つの難題――しかも相互に矛盾する

 しかし、ここからが現実です。トランプが携えてきたアジェンダは、日本にとって容易ならざる二本柱であり、しかも相互に矛盾しています。ひとつは「日本の軍事的自立」の要求。もうひとつは「日本をATMとして維持したい」という米側の資金需要です。どちらも彼の徹底したアメリカ・ファーストから導かれる合理的要請であり

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