Foomii(フーミー)

日本復活・明日への羅針盤

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

高市さん、緊急事態条項だけはやめましょう!

 維新との政策協議が前進し、高市政権の発足が現実味を帯びています。企業・団体献金の禁止を除けば、両者の政策はおおむね一致しており、停滞した政治に新風が吹き込まれる期待が高まっています。保守の再結集を待ち望んできた多くの国民にとって、これは朗報です。


 しかし、その期待に水を差しかねない一点があります。憲法に「緊急事態条項」を新設するという、執念にも似たこだわりです。維新との合意事項にも含まれたと報じられていますが、なぜまず第九条の改正ではなく、緊急事態条項の先行なのか。ここに大きな疑問が残ります。


1.優先順位を取り違えてはいけない

 本来、わたしたちが真っ先に取り組むべき憲法課題は、抑止力の回復と同盟の信頼性を確かなものにするための第九条の改正です。台湾海峡の緊張、インド太平洋の力の空白、宇宙・サイバー領域での日常化した攻撃——安全保障環境は「戦後最悪」と言われ続けています。それにもかかわらず、憲法改正の焦点を「緊急時の統治技術」へ矮小化することは、国家戦略の優先順位を取り違えることに直結します。

 しかも、災害対応や一時的な権限の集中が必要だというのであれば、災害対策基本法、国民保護法制、各種の特措法による枠組みが既に整っています。まずはこれらを適切に整備・運用し、立法技術で不足を補うのが立憲主義の筋道です。


2.コロナ禍が突きつけた「緊急」の危うさ

 コロナ禍は、国家が「緊急」を宣言し、人権を例外的に制約することの重さをまざまざと示しました。各国で統制と規制が過度に肥大化し、反対意見が抑圧された事例が相次いだのです。


 カナダでは、過度な規制に抗議したコンボイ・デモの参加者や支援者に対して、金融口座の凍結まで含む強権的措置が発動され、

… … …(記事全文3,751文字)
  • バックナンバーを購入すると全文読むことができます。

    購入済みの読者はこちらからログインすると全文表示されます。

    ログインする
  • 価格:198円(税込)

    ひと月まとめて購入するとさらにお得です。

    価格:660円(税込)

    2025年10月分をまとめて購入する

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年11月19日に利用を開始した場合、2025年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する