… … …(記事全文3,653文字)2025年春、瀬戸内海の小さな離島「笠佐島」(かささじま)が突如として脚光を浴びました。山口県上関町に属するこの島の大部分が、2024年から2025年にかけて中国人名義で次々と購入されていた事実が報じられたのです。周囲わずか3km、住民はほぼゼロの無人島に近いこの島に、いったいなぜ中国人が巨額の資金を投じたのか?
報道を受け、地元住民や元町長らからは「安全保障上の懸念がある」との声が上がり、町議会でも問題視されました。さらに現地の海域は、かつて原発建設計画があったほどの戦略的重要性を持ち、航路上の要衝でもあります。つまり、これは単なるリゾート開発や投資案件ではなく、「軍事的含意のある拠点化」を懸念させる典型的な事例であります。このような事態がなぜ可能になっているのか?その背後にある法制度と国際協定の存在を、今こそ厳密に見つめ直す必要があります。
平成6年(1994年)、当時の日本政府は、WTO(世界貿易機関)を構成する国際協定の一つ「サービス貿易一般協定(GATS)」に署名し、国際的なサービス自由化の枠組みに参加いたしました。この協定は、通信、金融、運輸、観光、建設、不動産などのサービス分野において、各国が相互に市場を開放し合い、参入障壁を撤廃していくことを目的としたものです。
この時、日本は不動産サービス分野(Real Estate Services)において、外国人事業者に対して日本人と同等の扱い(内国民待遇)を認め、実質的に外国人による土地取得を自由化する約束を行いました。つまり、土地という国家の根幹を成す資源を、外国資本に開放する決定がなされたのです。これは、単なる経済政策の一環として見過ごすわけにはいきません。なぜなら、それが今や、日本の主権と安全保障を根本から揺るがす重大な事態へと発展しているからです。
北海道の水源、九州の港湾、沖縄の戦略拠点が中国資本に落ちる
GATS発効から30年を経た今日、我が国では、
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