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日本復活・明日への羅針盤

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

トランプ政権の「関税交渉」―日本は英国との取引を基準に交渉すべき

トランプ大統領は日本に先立って、英国との間で「歴史的な関税取引をまとめた」と発表しました。私は、日本はアメリカの伝統的同盟国であるイギリスの交渉をベンチマークにして交渉すべきだったし、これからも交渉すべきだと考えます。もちろん、イギリスを上回る交渉をすべきですが、少なくともイギリス並みにすべく努力すべきです。

英国との取引の詳細

まず英国との合意内容を整理します。2025年5月8日に発表された米英枠組み協定では、米国に輸入される英国製自動車年間10万台について、従来の25%の関税を10%に引き下げることが決まりました。これにより、英国の主要輸出産業である高級車メーカー(ジャガー・ランドローバー、ミニなど)が一定の恩恵を受ける見通しです。

さらに、英国からの鉄鋼は年間約120万トン、アルミは約7.5万トンまで、関税を0%に免除する措置が取られました。これはトランプ政権が当初課していた鉄鋼25%、アルミ10%の追加関税を大幅に緩和するもので、英国にとっては実質的な輸出回復策となります。

しかし、この合意はあくまでも一部品目に限られます。その他の英国製品、特に農産物や工業製品には、最低10%の「レシプロカル関税」が引き続き適用されます。トランプ政権はこれを「相互関税」と呼びますが、実際には米国が一方的に設定する輸入税の下限であり、英国が米国製品に同率の関税を課すわけではありません。

豪州も10%で妥結

さらに、オーストラリアも米国との交渉で10%で妥結しました。つまり、英国だけでなく豪州も一定の交渉力を発揮し、15%や20%の懲罰的関税を回避したのです。

「レシプロカル関税」の実態

本来、国際貿易における「相互関税」とは、両国が同じ税率をかけ合うことを意味します。しかし、今回の米国の措置は全く異なります。例えば、

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