… … …(記事全文2,146文字)かつて私は、台湾海峡を強行突破して台湾本島に上陸するような「伝統的な」軍事侵攻は、リスクが高すぎて現実的ではないと述べました。今でもその見解に変わりはありません。しかし、2025年6月、私たちは立て続けに恐ろしい現実を突きつけられました。
まず6月1日、ウクライナがロシア本土の4つの戦略空軍基地(エンゲリス、シャイコフカ、ソリツィ、リャザン)に対し、自爆型ドローンによる大規模な攻撃を行いました。この作戦によって、Tu-95やTu-160といった核搭載可能な戦略爆撃機が少なくとも20機破壊されたと報じられております。しかもこれらの基地は、前線ではなくロシアの内陸奥深くに存在しており、無人機が秘かに搬入され、座標情報に基づいて自律的に爆発したという事実は、驚愕すべき精度とインテリジェンス能力を物語っています。
そして、さらなる衝撃が走ったのが6月13日‐イスラエルによってイラン国内に事前に持ち込まれていた小型無人機が深夜に突如飛翔し、ナタンズ核施設やイスファハーンの弾頭製造工場を正確に叩きました。さらに、イラン革命防衛隊のホセイン・サラミ司令官および参謀総長モハンマド・ゲバリ将軍を、彼らの滞在先である高層アパートの一室に対しピンポイントで狙い撃ちし、殺害したのです。建物全体を破壊するのではなく、特定の階層だけを吹き飛ばすという緻密な攻撃は、精密誘導型の小型兵器またはドローンによる極めて高度な作戦であり、もはや「戦場は敵国内のベッドルームにまで及ぶ」時代の到来を示しています。
このような攻撃は、戦線を押し上げるための作戦ではありません。敵の中枢を「正確に見抜き、狙い撃ちする」という、現代型情報戦の極致です。ミサイルの量や兵員の数ではなく、情報の正確さと、それを基に動くドローンやサイバー兵器が勝敗を決する時代──それが「ハイブリッド戦争」の実相です。
そして私たちは、こうした新しい戦争の矛先が、台湾や日本にも
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