ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00194/20221024234744101082 //////////////////////////////////////////////////////////////// 山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ! https://foomii.com/00194 //////////////////////////////////////////////////////////////// 10月16日から22日まで開催された中国共産党全国代表会議は衝撃的なシーンで幕を閉じました。共産主義青年団の指導者胡錦濤元国家主席が外国人記者団の面前で強制退場させられたのです。石平さんによると、北戴河会議以来、習近平の3期突入を認める代わりに李克強ら共青同派幹部を指導部に残す約束が土壇場で反故にされ、抗議した胡錦濤が退場させられたとのことでした。まさかのクーデターです。それにしても、それをわざわざ外国人記者の面前で行って全世界に放映させるとは驚きです。まさに戦浪外交のメンタリティが発露されたようです。 これまでは、毛沢東と周恩来、習近平と李克強のように、No1とNo2は必ずしも親分子分の関係ではなかったのに、今回は全て習近平の子分ばかり。しかも、後継者と思しき人間も含まれていないということで、完全な習近平永久皇帝体制が出来上がってしまいました。これはまさに、中華民族の偉大なる復興を掲げる古代帝国の復活を意味すると思われます。日本の政治家も経済人も、中国の解放改革路線は完全に終了したといい加減に認識すべきです。習近平は経済原則を無視してでも、イデオロギー重視の覇権戦略を推進していくでしょう。中国は解放された安定した市場でも、サプライチェーンの最適地でもなく、西側先進国の技術を窃取し、エコノミック・ステートクラフトで外国を締め上げる正真正銘の覇権国家となってしまいました。今後はその傾向がさらに強まるでしょう。 これで、中国による台湾への軍事侵攻は100%確実になったと指摘する専門家が複数いますが、私もそう思います。習近平は党大会初日の政治報告で、台湾問題に関して、「必ず実現しなければならないし、実現できる」「決して武力行使の放棄を約束しない」と述べました。ここまで明言して武力行使をしないとは考えにくいし、毛沢東に匹敵するレジェンド作りの為には武力行使を躊躇することは全くないでしょう。一方、「中国による台湾への軍事侵攻などあり得ない」と主張する専門家もいらっしゃいます。私が記憶している理由はふたつです。①支配したい台湾の国民を敵にしたくない。②1950年1月に、アメリカ合衆国国務長官ディーン・アチソンが宣言した防衛ラインであるアチソンラインに台湾が含まれていなかったのに毛沢東は台湾に侵攻しなかったのだから今回もあり得ない。 まず①ですが、香港を見ればわかるとおり、通常の手段でコントロールできなければ、民族的には同じでも暴力による弾圧に中国共産党は何の躊躇もありません。徹底弾圧して再教育という名の思想改造をするのが常ですから、台湾に容赦するわけがありません。軍事的侵攻の準備ができるまではサイレント・インベージョンに集中するでしょうが、それだけでは無理と判断すれば躊躇なく武力行使するでしょう。 ②については、当時と今とでは根本的に状況が異なります。今の中国は経済力も軍事力も比較にならないほど強大で、台湾の戦略的価値も飛躍的に増大しています。習近平は毛沢東がやらなかった台湾併合を必ずやると宣言しているのですから、72年前のアチソンラインは全く参考にならないと思います。 香港の惨状を目の当たりにした台湾市民は中国共産党に強い不信感を抱き、サイレント・インベージョンだけで台湾を併合するのは無理がありますから、習近平の中国は必ず武力行使に踏み切るでしょう。問題は、それがいつか、です。… … …(記事全文4,027文字)
山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ!
山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)