… … …(記事全文3,043文字)今年の3月31日、アメリカ、ロサンゼルスのドジャーズスタジアムで、俳優の真田広之さんが始球式をつとめた。
なぜ真田さんが? と一瞬思ったが、そうか、そういえば真田さんがプロデュースし、主演もつとめた配信ドラマが世界的に大ヒットしているらしい。
だから呼ばれたのだなと納得した。
そうこうするうち、そのドラマ、「SHOGUN 将軍」はアメリカのテレビ界最高の賞である、エミ―賞で計18部門も受賞した。
9月8日には撮影賞、視覚効果賞、編集賞など14部門で、15日には監督賞(日本人ではない)、主演男優賞、真田広之氏、主演女優賞、アンナ・サワイ氏(ニュージーランド生まれの日本人)、作品賞というビッグなタイトルを4つも獲得した。
日本人が俳優の主要部門を受賞することも、非英語作品が作品賞を受賞したことも初めてである。
受賞時に真田氏が、あえてここは日本語でと断って語った言葉はとても有名になったが、念のために引用する。
「これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、そして監督や、諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えました。Thank you so much!!」
真田氏が日本からアメリカ、ハリウッドに活躍の場を移したのは2003年。
トム・クルーズと渡辺謙両氏が主演男優、真田氏が助演男優だったハリウッド映画、「ラスト・サムライ」が公開された年だ。
この映画はアメリカの南北戦争後に日本にわたり、軍事顧問となった男、ネイサン・オールグレン(トム・クルーズ)が、西郷隆盛を思わせる、反乱軍のリーダー、勝元盛次(渡辺謙)と心を通わせ、武士道や伝統的な文化を学んでいくというストーリーだ。
しかしその学ぶはずの文化が、はっきり言って滅茶苦茶で、少なくとも日本人には見るに堪えないほどだ。
特に勝元の死という最も盛り上がるべきシーンにおいて、政府軍の兵隊たちが敬意をあらわすために戦場で土下座をするに至っては、空いた口がふさがらなくなってしまった。
真田氏は日本人が見て変にならないよう、できる限りアドヴァイスをしたそうだが、それでも大勢を変えることはできなかった。
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